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* 帰ってきた!? フラン(伊)とゴリラの大冒険!! 第1話『vs〇禾予』 むかしむかし あるところに 暗黒合法企業経営者達が集まる円卓会議がありました。 参加者は皆が皆、悪鬼羅刹が跋扈する伏魔殿の如き経済界を渡り歩いてきた者達です。 そこではその日も各分野に名だたる悪名高き経営者達が怪しい話し合いをしていました。 「『ケジメ・マネジメント』の社長がやられたようだな」 最初にこう言ったのは、安全設計に定評のある有名エレベーター会社の技術部長です。 彼は安全装置『地面激突直前に50cm上方へ射出される床』で財を成した人物でした。 「所詮、財前など我らの中で一番の若輩者」 その言葉に頷いたのは、TVCMによりお茶の間でも人気の予備校カリスマ国語講師です。 彼は世界で初めて『著者はこのとき何を考えていたか』の問いを解いた人物でした。 「格闘大会で優勝できぬなど、我ら暗黒合法企業経営者の面汚しよ」 机の上に形作った台形型の腕を崩さないのはリーダー格の有名大企業社長です。 彼は治療魔人部隊を操り社員の病気・疲労を即時治療し、24時間働かせる社長でした。 彼らが語り合っていたのは会議から遡ること数日前の、女性限定の格闘大会のことでした。 その大会には彼らの仲間、つまり暗黒合法企業経営者である一人の女性が参加していました。 残念ながら、その女性はめざましい活躍のないまま大会を終えたのでした。 女性の名前は財前倉持(ざいぜん くらもち)。 資産運用会社を経営する34歳の若き女社長でした。 会社の資産を自在に運用できるその女性は、自社ビルを武器に大会を闘い抜いたのでした。 しかし、誰が知っていたことでしょうか。 円卓に連なる暗黒合法企業経営者達もあずかり知らないことでしょう。 財前倉持というその若き女社長が、一人の少年を救うために大会参加していたなんて。 もちろん経営者である彼女は自前の損得勘定によって動いてもいました。 結果的には彼女が動かなくとも少年は助かり、彼女の帳簿は赤字の二文字が踊りました。 それでも、彼女に人助けを持ちかけた『縁』はその後も続き、未来を動かしたのでした。 ※ ※ ※ 「待て! 待った! ちょっと! 話せばわかる!」 「大丈夫だいじょうぶ! 『死にはしません』から――ですよね? 蟹ちゃん?」 「いや死ぬだろォ! 防御したサイバネクローごと腕をグラインドしてミンチ重点だろォー!」 発汗とは哺乳類が体温調節のために皮膚の汗腺から汗を分泌する生理現象である。 であるから、変温動物である甲殻類は汗をかかない。 果たしてマジカニア人はこんなときに冷や汗をかくのであろうか。 5mほど離れた場所に立つフランチェスコの上方へ伸ばされた手先を見ながら蟹ちゃんは考えていた。 天に向けられたその手の上には長径188m短径156mの大質量。陽光を遮り黒々とした影は既に蟹ちゃんを覆っている。 もし冷や汗をかけるなら、自分は既に濡れ鼠だろう。蟹ちゃんには最早自分の体調を把握する余裕すら無かった。 「なんで……なんでテメェがあの女の能力をッ!?」 「この能力、あのとき届かなかった分をいまここで――っと、では、ホイっとな」 コロッセオの立てた地響きと轟音は、蟹ちゃんの悲鳴すら土埃の向こう側に埋もれさせた。 ダンゲロスバーゲンセールという名のハルマゲドンが開催される。 その話を聞いて希望崎学園へやってきたフランチェスコを最初に歓迎したのが彼女だった。 少女の名は二〇禾予(さんした おうじょ)。愛称は蟹ちゃんである。 「次は必ず殺すと決めていた」「旦那持ちの癖にゴリラと一緒にいて腹が立った」 「人違い? 顔がそっくりなのが悪い」――等々、これが犯行後に語った蟹ちゃんの弁である。 結局、コロッセオの下敷きになりながらも本当に死ななかったのであった。 「好いことがあると良いですねぇ……お互いに」 騒動の後、身近な惚気話の被害報告を互いのお茶請けにティータイムを過ごした二人は手と鋏を交わして別れた。 寂しそうに小さくなる蟹ちゃんの背中を見送りながら、フランチェスコは隣のマタンゴリラへ静かに告げた。 「コロッセオの使い途――決めましたよ」 「ウホウホ?」 「元気のない人を元気づけるために使いましょう」 こうしてフラン(伊)とゴリラの大冒険は波乱と共に幕をあけたのでした。

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