帰ってきた!? フラン(伊)とゴリラの大冒険!! 第11話『vs紡』



フランとゴリラはとっても仲良し。
今日も一緒にお散歩します。

「今日は校舎の屋上をお散歩しましょう」
「ウホウホ」

フランとゴリラが校舎の屋上へ行くと、命輪紡が空へむかって両手を高々と差し出していました。

「ごきげんよう!」
「ウホウホ」
「賑やかそ―ぜ!」
「ウホウホ」

だけど、おやおや? 命輪の様子がおかしいです。
最初からおかしかったなどと言ってはいけません。
神の世界は近づいた、選別者は大いなる標に導かれる、魔人は限界を超えて魔神となる、
等々ぶつぶつと呟いています。
おかしいです。

「どうしたのですか?」
「ウホウホ」

ここで命輪は屋上に自分以外の存在がいることにはじめて気付き、
声をかけてきたのがフランとゴリラだとわかるとおっとりと顔をほころばせました。

「フランとゴリラさんじゃないですかぁ。ごきげんよう~」
「ごきげんよう!」
「ウホウホ!」
「ちょうどあなた達とお話したいなぁって思っていたんですよぉ」

さきほどのひとりごとの決断的な口調はどこへやら、
命輪はのんびりとにこやかに笑っています。
とても怪しいです。

「それではちょうどキノコもありますし、キノコパーティーでもしましょうか!」
「ウホウホ」

けれど些細な違和感はどこ吹く風。
フランとゴリラはゴリラの体から生えているキノコをむしり取りました。
ガスバーナーに五徳、網、醤油に醤油差し、紙皿に箸とパーティーに必要なものを取り出すと、さっそく調理の開始です。
小物類は『死の商人』バルゲン・セラーの提供でお送りします。
しばらくするとキノコの焼ける香ばしくておいしそうな匂いが立ち昇りました。

「あらあらおいしそぉ~」
「誰でも元気になれるすごいキノコですよ!」
「ウホウホ!」

お腹がいっぱいになる頃には、とっても楽しい気分になってきました。
みんなキノコにあたってラリってきたのです。

「賑やかそ―ぜ! 賑やかそ―ぜ!! 賑やかそ―ぜ!!!」
「ウホウホ! ウホウホ!! ウホウホ!!!」
「ねぇフランとゴリラさぁん? 私に導かれて神の世界へ行きませんかぁ? うふふふふ」
「賑や……えっなんですか?」
「ウホ……ウホ?」

するとそのとき、命輪がすっかりと座った目で怪しげなことを口にしました。
その視線は漆黒の狂気に燃えて、フランとゴリラを焼き尽くそうと舌舐めずりしています。

「あなた達なら『魔人の理からの卒業』ができるわぁ……選別に選ばれし者なのよぉ」

なんということでしょう。
命輪が二人を誘ったのはフランとゴリラの溢れ出るFGS(フランチェスコ&ゴリラスキル)目当てだったのです。
直後、命輪は動きました。
その動きは素早く、卓越した捕縛スキルで有無をいわさずフランとゴリラを縄でぐるぐる巻きにしてしまいました。

「残像だ」
「ウホウホ」

いえ、命輪がぐるぐる巻きにしたのは丸めて置いてあったレジャーシートの余りでした。
すっかりキノコでラリっていた命輪がうっかりレジャーシートと二人を間違えたのです。
フランとゴリラはノリで言ってみたかった台詞を言っただけです。

「さぁフランチェスコさぁん? マタンゴリラさぁん? めくるめく神の世界へ参りましょうねぇ~」

ラリったままの命輪はそのことにも気付かず、
そのままレジャーシートを抱えてどこかへとふらふら行ってしまいました。
その楽しそうな足取りを見送りながら、フランとゴリラはにっこりと笑いあいましたとさ。

「今日もしっかり元気づけられましたね!」
「ウホウホ!」
「明日もお散歩しましょうね!」
「ウホウホ!」
「明日はどこに行こうかなぁ」

めでたしめでたし。

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最終更新:2014年04月16日 20:42