帰ってきた!? フラン(伊)とゴリラの大冒険!! 第13話『そしてフランソワ』
フランとゴリラはとっても仲良し。
今日も一緒にお散歩します。
「今日はハルマゲドンの舞台をお散歩しましょう」
「ウホウホ」
フランとゴリラがダンゲロスバーゲンセールの戦場MAPに行くと、
両陣営に所属する無名魔人達が小競り合いをしていました。
「ごきげんよう!」
「ウホウホ」
「賑やかそ―ぜ!」
「ウホウホ」
だけど、おやおや? みんなの様子がおかしいです。
みんな殺気立って敵陣営を睨みつけて、とても和やかにお話できる雰囲気ではありません。
「どうしたのですか?」
「ウホウホ」
それもそのはず、もうすぐ始まるハルマゲドンで、
ここにいるみんなを率いる代表魔人達が決死の闘いをするのです。
フランとゴリラに構っている余裕は誰にもありませんでした。
「ごきげんよう!」
「ウホウホ!」
「うるせー!」
「賑やかそ―ぜ!」
「ウホウホ!」
「あっちいけ!」
フランとゴリラは追い払われて、とぼとぼと戦場から離れました。
『死の商人』バルゲン・セラーがバーゲン用の積荷を降ろすために作った学校の隅の簡易港へ向かうと、
そこにある簡易オープンカフェの白いプラスチック椅子に座ってしょんぼりしました。
「皆さん、戦闘に夢中で私の話を聞いてくれません……」
「ウホ……」
「せっかくのお祭り騒ぎなのですから、もっと華やかに、賑やかに、楽しみたいのに……」
「ウホホ……」
フランとゴリラはテーブルに突っ伏して、寂しそうに夕暮れ時の太陽を見送っていました。
「どうしたの?」
その時、落ち込んでいる二人に声をかけてくる人物がいました。
「あ、貴女は……!」
「ウホウホ!」
オレンジ色の夕日をうけて、キラキラと金髪がこぼれます。
東京湾の潮風が、ピンクのワンピをゆらします。
マタンゴリラが嬉しそうにドラミングしました。
「フランソワ・パリジェーンヌさん!!!」
「ごきげんよう」
そこにいたのはマタンゴリラやバルゲン・セラーと共に七つの海を駆けたパリジェンヌ。
かつてマタンゴリラと大冒険をしてみんなに勇気と希望と感動を与えた立役者。
フランソワ・パリジェーンヌでした。
「絵描こーぜ」「ウホウホ」
「はい」
「SS書こうぜ」「ウホウホ」
「はい、はい」
「遊ぼうぜ」「ウホウホ」
「はい……はい……」
フランチェスコの目が潤んでいたのは、夕日が染みただけではないでしょう。
フランソワは優雅にカフェの椅子へ着席すると、紅茶をパリジェンヌ風にすすりました。
「みんなの余裕がなくっても、私が絵も描くしSSも書くし遊んでもあげる」
「はい……そうですね……」
「だから落ち込んでいないで、一緒に遊びましょう」
「ありがとうございます……フランソワさん!」
フランチェスコはぶかぶかの袖で顔を拭うと、満面の笑顔でこたえました。
フランチェスコの名前の由来は、フランソワの名前から。
フランチェスコの行動は、フランソワに憧れて。
「もう大丈夫です! 落ち込んでいないで、皆さんを元気づけにいってきます!」
「ウホ!」
そうして始めたこの大冒険に、フランソワが自ら彩りを添えてくれたのだから。
きっととっても嬉しいのでしょう。
「それじゃあ元気になるために」
「そうですね、元気になるために」
「ウホウホ」
だからみんなに感謝を込めて。
だから締めはすっかりお馴染みの。
「「そうだ、こんなところにキノコがあるわ」」
めでたしめでたし。
最終更新:2014年04月16日 20:59