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■たたかえ蟹ちゃんシリーズ■第11話☆夕闇の救世主■


機体側面に「WL」のマークが塗装された中型ヘリコプターが、廃校となった小学校の校庭で乗客を待っている。『新黒死病ウィルス』の蔓延によって、僅か一年の間に全人類の三割が命を落とした。このヘリを所有する、ホエールラボラトリ社はパンデミックの中で急速に成長した製薬会社である。1

WL社は、世界最強の存在を決める異能者達の武闘会「ザ・キングオブトワイライト ~夕闇の覇者~」の主要スポンサーのひとつである。ヘリが待っていた少女が姿を現した。年齢、11歳。身長、123.3cm。体重、25.6kg。名前、高島平四葉。大会参加選手だ。2

この可愛らしい小学生が、いかに危険な存在であるかはいずれ明らかになろう。WL社は、敢えて危険な高島平四葉を大会に受け入れ、邪悪な目的に利用しようとしていた。そして四葉は、WL社を利用して夢を叶えようと企んでいた。四葉の夢は、世界征服。3

「そう上手くは行かねェぜ。クソガキの夢は叶わず、若い命を惨めに散らしましたとさ。悲しいねェー」いつの間にかヘリの上に、怪しげな少女が立っていた。その両腕には巨大なサイバネの鋏。「酷たらしく死んでもらうぜ、高島平四葉ァー! これ以上人類が減っちまうと困るからなァ!」4

サイバネ少女はヘリの上から跳躍し、四葉の背よりも巨大な鋏を振り下ろす。四葉は機敏に横っ飛びで避け、空を切った鋏は大地にクレーター跡を刻む。「チィッ! 素早いガキだ!」くるりと横回転して着地する四葉。「へぇー。すごい武器だね。いただき!」5

「モア!」能力発動! 四葉の手に、サイバネ少女よりも更に一回り巨大なサイバネの爪が現れる!『モア』は、敵の武器をより強化した姿で手に入れる能力である! しかし!「うわっ、重っ!」小学生の筋力では保持できず、ズシリと地面に取り落とした……。6

「ヒャハハハーッ! 馬鹿がァーッ! そもそもサイバネ神経接続手術をしなければクローは制御できない! 地獄に着いたら『私が馬鹿でした』と反省文を百万回書くんだなァ! 死ねェーッ!」襲いかかる赤熱したクロー!「ギャウンッ!」超巨大サイバネ腕の直撃を受けて少女が吹き飛ぶ! 7

「ゲボッ、何が……起きた!?」サイバネ少女は想定外の大質量打撃を受けて意識が混乱している。四葉はクローを紙一重で回避、腕を突き出しつつ『モア』を発動して、複製超巨大クローの出現と同時にサイバネ少女にぶつけたのだ!「馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ、ばぁーーーか!」8

「さて、トドメは特別サービス! 実は目の前の『あなた』以外の武器だってコピーできるんだよ!」四葉は両手を天にかざす!「敵よ! ほんのちょっとオラに武器をわけてくれ! モア!」光り輝く巨大白熱エネルギー球体が発生!「アァーッ! そ、その光はァーッ!」9

「ふふっ、だぁれの武器でしょねー? えいっ!」四葉は無造作に巨大エネルギー球体を投擲! ズズーゥム! 大爆発!「ァ……アァ……」閃光に包まれ、サイバネ少女は意識を失った。……バタバタバタ。ヘリが飛び去ってゆく。そのヘリから、危険なウィルス入り小瓶が街へ投下された。10

「うう……さなみぃぃん、負けちゃった……止められなかった……四葉ウィルスでいっぱい人が死んじゃうよぉ……」なんとか家に帰りついたサイバネ少女は、義姉に泣きついた。「お疲れ様。蟹ちゃんはよく頑張ったよ。世界はきっと、別の誰かが救ってくれると思うよ……」11

そう。夕闇に包まれた陰鬱なこの世界は、きっと誰かが救ってくれる。世界平和を虚心に願う、誰かが。『どう? 試合終わったらアソばない? 楽しもうぜェー♪』二家のテレビに流れる大会映像では、軽薄なチャラ男が対戦相手の気高き姫将軍をデートに誘っていた。12

■第11話☆夕闇の救世主■ おわり


第11話挿絵

参考リンク: