アニメの基礎知識

世界の人々に身近に親しまれる Japanese Culture (日本産の文化)に成長したアニメについて簡単に紹介し考察を深めていくページ
(※掲載作品の範囲は、2015年9月末時点まで)

<目次>

■1.アニメは立派な日本文化だ

一時代前の偏見に囚われて「アニメなんてどうせ下らないんだろう」「子供向けの幼稚な内容なんだろう」「実写映画・ドラマや小説の方が深みがある」と頭から思っている人はまだまだ多いのかも知れない。また、昨今のマスコミを始めとするオタクを善しと思わない者により、特に「最近の(萌え)アニメファン・オタク=ネトウヨ※=犯罪者」というレッテルが付けられている。

※ネトウヨ(ネット右翼)とは、本来は「ネットで右翼的な活動をする者」という狭義の意味でしたが、そこから転じて、「いわゆるサヨク(ネット左翼)に取って都合の悪い者(特亜嫌いであることや、マスコミの正体に気づいてしまい洗脳・マインドコントロールが通用しなくなった者)」と言うレッテルへと変わってしまいました。詳しくは、「[[ネット右翼の正体]]」をご覧ください。

しかし冷静かつ客観的に評価するならば、特に2000年代中期頃から、(1)原作プロット・シリーズ構成・脚本/(2)演出/(3)作画/(4)楽曲・声演 の各分野で目を見張る優秀な作品がパラパラと登場し始め、2010年代以降はそれら各分野を高いレベルで総合したトータルな魅力を持つ名作が同時に幾つも登場し始めて、昨今では少なくとも(2)~(4)に関しては「出来の悪い」作品を見つけ出すのが困難と思えるほどに全体レベルの著しい向上が観られるようになった。
なお残念ながら、(1)原作プロット・シリーズ構成・脚本は実写作品でもそうであるようにアニメに関しても、そう易々とはレベルが向上していないのだけれども、もし良い原作があればそれを高いレベルのアニメ作品として纏め上げる技術は既に十分に確立されているように見受けられる。

このページは、日本文化の一翼を担うアニメについて、特にアニメに関して知識不足な人が「あれれ? 自分って勘違いしてたの?」と思い直すキッカケとなることを目指します。

■2.アニメの古典

まず最初に、各年代を代表する名作アニメを簡単におさらいしておきましょう。
タイトル 時期 評価 Wikipedia 映像制作 原作など
脚本 作画 楽曲・声演
作品解説
1.1960年代
鉄腕アトム 1963年 Wikipedia 虫プロダクション 少年漫画原作
手塚治虫原作の漫画をもとに日本初の連続TVアニメ(当時は「テレビまんが」)として制作され、常時視聴率20~40%台を誇る大人気番組となった。1966年末の最終回はアトムが地球を救うためにミサイルを抱えて太陽に単騎突入するという神風特別攻撃隊をイメージさせるエピソードで締めくくられており、放送を見た全国の児童に大きな精神的影響を与えたという(なお、この最終回はアメリカ放送版ではカットされた)。
2005年に放映され一部で名作の評がある『SoltyRei』には本作のモチーフが垣間見られる。
2.1970年代
宇宙戦艦ヤマト 1974年 Wikipedia オフィス・アカデミー オリジナル
宇宙空間を舞台とした戦闘・メカ系アニメの金字塔であり、1977年の劇場版の大ヒットにより空前のアニメ・ブームを巻き起こした名作である。そして大東亜戦争末期の戦艦「大和」による沖縄特攻作戦(菊水作戦)を直接のモチーフとする点でも特異な位置を占める作品である(本作は、坊ノ岬沖に横たわる大昔の戦艦・大和の残骸を隠れ蓑にして建造され、沖縄ならぬイスカンダルを目指して単艦で出撃する、という設定となっている)。終戦から29年・沖縄復帰から2年しか経っていない時点でのこの放送内容は相当に刺激的であったはずであり、敵のガミラス帝星がアメリカよりはナチス・ドイツをイメージさせる描出となっているところもまた興味深い。
2012年~13年にかけて現代風にストーリーを改変したリメイク版が制作され、劇場公開・TV放送された。
3.1980年代
魔法のスターマジカルエミ 1985年 Wikipedia スタジオぴえろ オリジナル
魔法少女アニメは1966年の「魔法使いサリー」を初めとして数々の名作が作られてきたが、この作品は完成度において一つのピークを達成するとともに「魔法少女アニメ」というカテゴリー自体を半ば破壊したと評される。すなわち、この作品は、魔法の力でいつの間にかマジック劇団のアイドル・スターに祭り上げられてしまった少女が、やがて魔法ではなく自分の力で憧れのマジシャンへの道を進む決意を固めて妖精に魔法の力を返却してしまう、という異例の展開を、少女の心境の緩やかな変化という一種の心理ドラマとして構成して、従来の魔法少女アニメより一歩も二歩も高い境地に達してしまった。
これ以降の魔法少女アニメは、男児向けの戦闘アニメとさほど見分けのつかない戦闘美少女系アニメないしは本作のようなノーマル系の魔法少女をモチーフとしたパロディ的な作品ばかりが制作されるようになってしまったという。
4.1990年代
新世紀エヴァンゲリオン 1995年 ★★★★☆ ★★☆ Wikipedia タツノコプロ
GAINAX
オリジナル
それまで顕著に存在した「男児向け」「女児向け」といった性別カテゴリーや、「アニメは子供向けのもの」といった固定観念を破壊したアニメ史上空前絶後の「問題作」。一応は戦闘・メカ系アニメの顔をしているが、むしろ主人公と周辺人物たちの心理劇という側面が世界の破滅という悲劇と相俟って視聴者に強くアピールし、「セカイ系」という新たなアニメ・カテゴリーを創出したとされる。
21世紀に入ってもストーリー改変したリメイク版劇場アニメが数年置きに制作・公開されヒットし続けている。
カードキャプターさくら 1998年 ★★★★☆ ★★☆ Wikipedia マッドハウス 少女漫画原作
NHK放映アニメ史上最高額といわれる潤沢な予算を掛けて制作され、深夜アニメとは桁違いの数の視聴者に愛されかつ影響を与えたこのアニメは、TV全70話+映画2作という長編でありながら、シリーズ構成・脚本・作画に殆ど綻びが見られず、上で紹介した「マジカルエミ」などの先行する魔法少女アニメのモチーフを踏まえながら、主人公である少女の2年半に渡る緩やかな心の成長を描き切って飽きない(※例えば物語半ばの第40話での巧みな伏線の張り方に注目)。
このアニメの想定視聴者層(つまり小学生達)は、心の正しい子どもはこのように感じ、また振る舞うのだ、ということを知らず知らずのうちに心の裡に感じ取ったはずであり、現在もなお男女を問わずこの作品を最愛のアニメに挙げる人が絶えない。
もしこの作品を絵柄だけ見て「萌えアニメ」と切り捨てるとすれば、それは大きな勘違いであろう(なおこのアニメの放映が終わった2000年頃から「さくら」と命名された新生児が急増し現在までその趨勢が続いているという)。
5.2000年代
涼宮ハルヒの憂鬱 2006年春
2009年春
2010年冬(劇場版)
★★★★(TV版)
★★★★☆(劇場版)
★★★★(TV版)
★★★★☆(劇場版)
Wikipedia 京都アニメーション ライトノベル原作
1期放送当時において(1)シリーズ構成・脚本/(2)演出/(3)作画/(4)楽曲・声演のいずれを取っても異例に高い完成度をもって制作・放映され、現代アニメの方向性を決定づけた作品。
それまでのアニメが、世界や人類の平和ないしは主人公の心の葛藤といった大袈裟なテーマを勿体をつけて視聴者に語りかけていた(語りかけられる側には日蔭者=オタク意識がまとわりつくのが常だった)のに対して、この作品は何よりも「視聴者を楽しませる」というエンターティンメント性の高い内容にシフトして構成されており、そのためにリア充(リアル生活も充実している人)系ラブコメの代表作とも評されることになった。
2006年放送版は内容がシャッフルされておりストーリー展開が掴み辛いので、第2期(一部再放送も含む)および劇場版『涼宮ハルヒの消失』の視聴をお勧めする。
なお第2期の途中には、エンドレス・エイトと呼ばれる8回に及ぶ繰返し回があり悪評高いが、そこで描かれるサブヒロイン(長門有希)の微妙な変化がTV版最終回さらに『消失』への重要な伏線となっているので端折らずに全回視聴すると良い。

■3.現代アニメ

「涼宮ハルヒの憂鬱」(2006年)以降の成熟・爛熟期に突入した現代アニメから、特に代表的なものを紹介していきます。
(※掲載作品の範囲は、2015年9月末時点まで)。
なお評価にあたっては(1)脚本・(2)作画それぞれを5つ星満点とした点数評価を基本としていますが、それらに(3)+αの個別評価(作品の人気度や独自性等)を加味しています。(1)・(2)の各評価の意味は次の通りです。
★★★★★
(5)
★★★★☆
(4.5)
★★★★
(4)
★★★☆
(3.5)
★★★
(3)
★★☆
(2.5)
★★
(2)
★☆
(1.5)

(1)

(0.5)
現時点で最高級 非常に良い かなり良い 良い部類 及第点 及第点以下 ダメな部類 かなりダメ 全然ダメ 論外
注意:本ページで行っている評価は当サイト内他ページで行っている「愛国」「反日/売国」の評価と趣旨が異なり、これらの評価との相関性も殆どありません。また旧「別館」に掲載されていた作品につきましては各段階ごとの通番ではなくギリシャ文字を振っています。

▲3-1.傑作アニメ(★★★★★級)

何度も見返す価値のある本当の意味の名作・傑作と思われるもの。
※実際は、各テーマが様々な割合で混在しているのが普通です。
タイトル 時期 評価 Wikipedia 映像制作 原作など
脚本 作画 楽曲・声演
作品解説
1.試練、成長
ガールズ&パンツァー 2012年秋 ★★★★☆ ★★★★☆ Wikipedia アクタス オリジナル
「女子高生が戦車に乗り込みスポーツ・バトル!」という馬鹿馬鹿しい設定と思わせておいて、話が進むほどに少年漫画の王道的な展開を見せる熱血"神"アニメ。構成に無駄がなく、登場する殆どのキャラクラーが各々個性的な魅力を放っている点、そして何よりも毎回何故か視聴者に幸福な満足感を与えてくれる点でも稀有な作品。
2.友情、恋愛
とらドラ! 2008年秋 ★★★★☆ ★★★☆ Wikipedia J.C.STAFF ライトノベル原作
作品の半ば(第13話辺り)までは月並みな学園ラブコメと思わせておいて、そうして張った様々な伏線を、第17話~最終話(第25話)までの最後の約1/3で見事に回収しつつシリアスな恋愛と友情の相克劇を爆発的に描き出す現代版『感情教育』。アニメにここまで説得力の高いリアルな恋愛感情の表現が出来るとは正直思わなかった・・・ 不覚でした。
3.救済、癒し
魔法少女まどか☆マギカ 2011年冬
2012年秋(劇場版前後編)
2013年秋(劇場版新編)
★★★★★(TV・劇場版前後編)
★★★★☆(劇場版新編)
★★★★☆(TV版)
★★★★★(劇場版両作)
Wikipedia シャフト オリジナル
使い古された"魔法少女"というファンタジー設定を逆手にとって、視聴者をまんまと哲学的思索へと誘い込んでしまう、(1)シリーズ構成・脚本/(2)演出/(3)作画/(4)楽曲・声演の各分野にわたって高レベルな出来映えの作品(※内容紹介動画)。
なお本作が傑作すぎたことから筋の通った続編が可能か危ぶまれていたが、2013年10月公開の新編「叛逆の物語」も脚本・作画とも予想を上回る濃密かつ精緻な仕上がりで本作の圧倒的魅力を改めて認識させるものとなった。
4.等身大の日常
けいおん! 2009年春
2010年春
2011年秋(劇場版)
★★★★ ★★★★☆ Wikipedia 京都アニメーション 4コマ漫画原作
上の3作とは違い、アニメの物語(ロマン)としての側面は敢えて抑えて、平凡な学園生活を題材としつつ作品の技術的洗練度を最高度に高めた作品。メインデッシュが出てくるわけではないのだけれど、少しずつ味わっているうちに、じわじわと美味しくなって何杯でもお替りしたくなる感覚はまるで日本料理?
なお2011年12月に劇場公開された『映画けいおん!』は、軽音楽部メンバーのロンドンへの卒業旅行という非日常経験をエピソードに挟みながら本編のラスト(メンバー4人の高校卒業)を補完しており、本作の世界観をより濃縮・純化した形で表現している。

▲3-2.優良アニメ(★★級)

★★★級には及ばないが、少なくとも一見の価値がある作品。
タイトル 時期 評価 Wikipedia 映像制作 原作など
脚本 作画 楽曲・声演
作品解説
1.“絆”の確認 - アニメは本当に下らないのか?
THE IDOLM@STER(アイドルマスター) 2011年夏
2014年冬(劇場版)
★★★★(TV版)
★★★★☆(劇場版)
★★★★☆ Wikipedia A-1 Pictures ゲーム派生
2013年初めにNHKラジオ番組において事前選考を経て対象を10名に絞ったうえで行われたアニメ・ヒロイン人気投票「わたしの大好きなヒロインたち」で、上記の「魔法少女まどか☆マギカ」(暁美ほむら、鹿目まどか)や、「けいおん!」(平沢唯)、さらには「カードキャプターさくら」(木之本桜)、涼宮ハルヒらのアニメの世界では超有名なヒロイン達を差し置いて全体投票の44%を獲得して第一位に選ばれたのは、本作のヒロインの一人・天海春香だった。
ヒロインといっても、同作品はある芸能事務所に所属する12人の少女達のアイドルとしての成長を一種の群像劇として描いており、天海春香はその中の一人、むしろアイドルとしては最も地味で控えめな役としてしか描かれておらず、最終3話で人気アイドルとして個々に輝き始めた少女達の結束の要としての地味な貢献にようやくスポットライトがあたる仕掛けとなっている。
いわゆる萌え系の絵柄のアニメであることに加えて、アイドル成長ものという題材であることから、ゲーム原作のこの作品の良質なアニメ化には相当の困難があったはずだが、そこを奇をてらわず淡々と個々の少女達の成長エピソードを積み上げながら、ラストを“少女達の原点”そして“絆”の確認で締めくくる手法は、やはり見事と云うべきであろう。
東日本大震災の起こった2011年は、実は「魔法少女まどか☆マギカ」「STEINS;GATE」「あの日見た花の名を僕達はまだ知らない」などの名作アニメが次々と制作・放映された年であり、震災とこうしたアニメ品質の突然の向上とに特に因果関係はないとみられるが本作もまたそうした特別な年の雰囲気を背景に幾人もの才能ある人たちの秘められた熱意によって生み出された作品であるように受け取ることは可能であろうし、また前記のNHK番組でエントリーされた10人のヒロインの中でも一番地味な役割の少女が圧倒的多数で「わたしの大好きなヒロイン」に選ばれたことにも何かしらの必然があるように見ることもできるだろう。
私はこの作品を視聴しながら、「アニメは本当に下らないのか?」という自問を何度も繰り返さざるを得なかった。
なお2014年1月に公開された劇場版新作『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』もTV版ラストからの流れを引き継いで、天海春香の「仲間全員の想いを掬い上げ、全員で次のステージに進む」までの戸惑い・悩み・決断という心の揺れ動きを丁寧に描き出して、こちらも予想以上の良作に仕上っている(ただし2時間程度の映画であるため他のアイドル達の描写が薄くなっており春香ファン以外には少し残念な内容だったかもしれない)。
2.アニメの前衛
化物語
偽物語
物語シリーズ<セカンドシーズン>
※他にもあり
2009年夏(化)
2012年冬(偽)
2013年夏(物語セカンド)
★★★☆ ★★★★☆ Wikipedia シャフト ライトノベル原作
化物語をアニメ第一作とする《物語シリーズ》は2013年年末時点で中編にあたるセカンドシーズンまでが放映済みの表現技法に関して実験色の非常に強いアニメであり、ストーリー自体も予想の斜め上に走る場合が多くエンターテインメント性の非常に高い作品群となっている。
3.高等遊民・中二病もの(男、特殊能力あり)
STEINS;GATE 2011年春
2013年春(劇場版)
★★★★☆(TV版)
★★★(劇場版)
★★★★ Wikipedia WHITE FOX ゲーム原作
自称「マッド・サイエンティスト」の理系大学生・岡部倫太郎は、同級生の「天才ハッカー」橋田至、幼馴染のコスプレイヤー椎名まゆりらラボメン(研究所のメンバー)とともに、過去の日時に送信される携帯メール(のちに「Dメール」と命名)を偶然開発したことから、次々と自分が予想もしなかった過去改変を引き起こしてしまう。その最初の現象は、岡部が秋葉原ラジオ会館で刺殺死体を目撃したはずの天才科学者・牧瀬紅莉栖との再会だった。
作中に若干の無駄・無理展開があるため残念ながら★★★級からは外したが、想定科学ADVの謳い文句に恥じない良作である。
主人公・岡部のキャラが典型的な厨ニ(中二)病で、アニメ開始後しばらくは相当にウザく失笑ものだったはずが、終盤の第23話でその評価が180度引っ繰り返ってしまい、視聴者の多くは今更ながら岡部の決断と行動に声援を送っている自分に気づくことになるだろう。
本作品はまた、秋葉原のオタク文化(パソコンやメイド喫茶など)や2ちゃんねる(作中「@チャンネル」)系のコミュニケーション(隠語の使いまわし等)に関しても多くの題材を扱っており、これらに疎い人には示唆するところが多いだろう。
なお、2013年公開の劇場版新作は残念ながらシナリオが本編に及ばないが、本編の後日譚として一通り楽しめる内容にはなっている。
4.日常系アニメの到達点
たまこまーけっと
たまこラブストーリー(劇場版)
2013年冬
2014年春(劇場版)
★★★★(TV版)
★★★★☆(劇場版)
★★★★☆(TV版)
★★★★★(劇場版)
Wikipedia 京都アニメーション オリジナル
傑作アニメ(★★★級)欄で紹介した「けいおん!」のヒットにより盛んになった日常系アニメの一つの到達点。
京都のとある商店街の餅屋の娘である高校生・北白川たまこの等身大の日常、つまり家族・友人・学校・地域社会とのつながり、そして恋と成長を緩やかに描き出していく。
ストーリーは2段階に分かれており、主人公たまこを中心に、幼馴染で彼女に恋心を抱くもち蔵・親友のみどり・頑固職人の父親や優しい商店街の人々、さらにはそうした環境に闖入してきた南国の言葉をしゃべる鳥・占い師・王子様たちの心の交流をユーモラスに描いていくTV編「たまこまーけっと」12話を前振りとして、高校3年生になり将来のことを考え始めたもち蔵と主人公たまこの恋の行方と成長に焦点を絞った劇場版新作「たまこラブストーリー」が展開する。
本作はTV放送中こそはよくある日常系の緩いハートフル・アニメと視聴者に受け取られて余り人気が出なかったが、そこで確りした輪郭を持った存在として描かれたたまこ・もち蔵・みどり等の日常が、劇場版新作「たまこラブストーリー」に入った途端に強い説得力を伴って動き出す様が非常に印象的で、高い評価を取っている。
5.学園・青春もの、人生に悔いを遺した魂の浄化・昇天
Angel Beats! 2010年春 ★★★★ ★★★☆ Wikipedia P.A.WORKS オリジナル
ストーリー展開に粗も目立つが意外な感動ポイントも多い良作。テーマとしては「涼宮ハルヒ」等のエンターティンメント一色の学園コメディとは違って、各々の登場人物たちが自分の人生の意味を真剣に問う部分も確り描出されている変則的構成となっており、また動画にある女性バンド Girls Dead Monster(ガルデモ)が奏でる様々な楽曲も併せて楽しめる作品である。
α.学園ミステリー仕立ての青春もの
氷菓 2012年春 ★★★★★ ★★★★☆ Wikipedia 京都アニメーション 推理小説原作
「姉の勧めで古典部に入部した折木奉太郎が、古典部の仲間たちとともに古典部や学園祭にまつわるミステリーを次々と解いていく・・・」というのは表向きのストーリーであり、彼が古典部で出会った好奇心旺盛な少女・千反田えるに次第に惹かれていく様をミステリーを小道具として描き出す作品である。
つまり、この作品は基本的には折木の視点に立ってストーリーが進行するが、彼にとって最大の謎は同級生の千反田の本心であり、彼は千反田に振り回されていくうちに次第に自身のモットーである安寧な省エネ生活を失っていくことになる。
これを千反田の視点から見ると、彼女がある目的を秘めて古典部に入り、そこで偶然出会った折木の意外な事件解決能力の高さと優しさに惹かれて、やがて彼に恋心を抱くに至り、彼女なりの方法で懸命に、そして用心深く、折木の心に入り込もうと画策していくストーリーということになる。
「名作は2度目に鑑賞するときが面白い」というが、まさにそれを地でいく作品である。
β.勇者部活動記録
結城友奈は勇者である 2014年秋 ★★★★☆ ★★★★★ Wikipedia Studio五組 オリジナル
ポストまどマギ世代の注目作。

▲3-3.面白アニメ(★級)

トータルで見ると★★級には届かないが、キラリと光る箇所があるもの。
タイトル 時期 評価 Wikipedia 映像制作 原作など
脚本 作画 楽曲・声演
作品解説
1.ミステリー・恐怖もの
ひぐらしのなく頃に 2006年春
2008年夏
★★★★ ★★☆ Wikipedia スタジオディーン ゲーム原作
ストーリー的には十分に★★級に値するが、しばしば作画崩壊を起こしてしまったり、登場人物間の(どうでもいい)ギャグの応酬でせっかくのストーリーが中断されてしまう、といった難点が目立つため残念ながら★級とした。
しかし他のアニメ作品ではなかなか味わえない異様な恐怖感・緊張感を経験できる稀有な"怪作"であることは確かだ。
2.戦闘魔法少女
魔法少女リリカルなのはThe Movie(1st2nd A's) 2010年冬(1st)
2012年夏(2nd)
★★★☆ ★★★★ Wikipedia セブン・アークス ゲーム派生
萌えアニメの外見をしていながら、実は正義と勇気を真正面から描き出す燃える快作。「魔法少女まどか☆マギカ」以上に強い偏見を持たれそうな作品であるが、構成に無駄が多く作画も古いTV放送版(2004年、2005年、2007年)ではなく、それらのリメイクである劇場版第1作(2010年)、そして名曲「Snow Rain」を含む劇場版第2作を先ず見ると良いと思われる(本作の場合、劇場版第2作の評価が圧倒的に高く、ここまで見ないと作品全体の価値が十分には理解できない)。
3.コメディ抜きの青春・学園もの(恋愛心理の描写が中心)
true tears 2008年冬 ★★★☆ ★★★☆ Wikipedia P.A.WORKS オリジナル(ゲーム派生)
この作品は作画・演出・音響とも地味であり、ストーリーも今ひとつ不明瞭で、無理な設定も幾つか目立つほか、ラブコメ的な要素も皆無に近い(第一話だけで視聴を切られそうな作品である)。だからこの作品を名作と呼ぶ人はあまりいないだろうし、当ページでの評価も★級に留まってしまっている。
しかし、ただ一つ、この作品に描かれている高校生たちの揺れ動く恋愛感情ないしそれに関連する様々な心の動きだけは、実にリアルであって、作り物の域を超えていると思う。
アニメでこのような複雑・微妙な恋愛心理の揺らぎを真正面から描いた作品としては、★★★級(何度も見返す価値のある作品)欄に挙げた「とらドラ!」と本作くらいしか私には見当たらない。そして、その両作品が女性の原作になるものだという点にも留意が必要である。正直に言えば、本作品も「とらドラ!」も女性の側の心理描写は真に迫っており圧巻なのだが、男性の側の心理描写には幾分かの違和感が残る。しかし、その点を差し引いても、本アニメは恋愛心理のリアルな動きを追った稀有な作品と評価し得ると思う。
4.夫婦愛・家族愛
CLANNAD、CLANNAD After Story 2007年秋
2008年秋(After Story)
★★★ ★★★☆ Wikipedia 京都アニメーション ゲーム原作
このアニメは非常に根強いファンを持つ作品であり、色々なサイトで恋愛アニメの代表格と紹介されているが、実際には夫婦愛・家族愛が中心テーマであって、もしこの作品に感動ポイントがあるとすれば、それはその点だと思う。
本アニメの第1期には可愛い絵柄の少女が多数登場して各々主人公の男性と絡むが、前述の「true tears」や「とらドラ!」などのように友人や恋人たちの間の複雑な恋愛心理の軋みが説得力をもって描かれているわけではなく、単なる恋心の躊躇い・恥じらい、もしくはご都合主義的な事件の発生ばかりが延々と続くだけであり、美しい部分も醜い部分も含めてリアルな・納得のできるような恋愛感情の描写を期待して視聴すると完全に肩透かしを喰らってしまう危険が高い。
その上この作品は第1期・第2期の本編だけで44話もあり、しかも夫婦愛・家族愛というテーマに沿って話が大きく動き出すのは第2期の第16話からなので、それまではひたすら忍耐が必要となる。評判につられてこのアニメを新規に視聴される方は注意されたい。
5.旅館を舞台とした少女の成長記、典型的なご当地アニメ
花咲くいろは 2011年春
2013年春(劇場版)
★★★☆(TV版)
★★★★(劇場版)
★★★★ Wikipedia P.A.WORKS オリジナル
上記の「true tears」と同一の制作会社(P.A.WORKS)・シリーズ構成(岡田磨里)であり、「true tears」が富山県南砺市を舞台としているのに対して本作は隣県・石川県金沢市の温泉街を主な舞台としており、典型的なご当地アニメとなっている。
また「true tears」は全13話で高校生達の恋愛感情の描写に焦点を絞っているが、本作は全26話と余裕のある回数となっており、主人公の女子高生が祖母経営の旅館に住み込んで仲居修行を経験し次第に自分の将来の夢・目標に目覚めていく様を中心としつつ、周囲の友人や先輩・祖母さらに東京に居る男友達・母親らとの交流を丁寧に綴る構成となっている。
この作品はどの回も脚本・演出・作画とも高いレベルであり本来ならば★★級にランク付けしてもいいほど高品質なのだが、主人公の女子高生および彼女を取り巻くサブキャラが基本的にはどんな環境であっても明るく生き抜いていける健全さの持ち主ばかりでストーリーが予定調和的なものばかりとなっており、『とらドラ!』のヒロインたち(逢坂大河・櫛枝実乃梨)のような「破れそうなシルクのハート」(同作のOP「silky heart」より)と形容される繊細さ・脆さを描写するに至っておらず、残念ながら作品にやや深みを欠く結果となっている(なお『とらドラ!』もシリーズ構成は岡田氏だが同作は竹宮ゆゆこ氏のライトノベルが原作のためその点で作品の性質に違いが出ているとみられる)。
また、主人公の女子高生の母親と、TV版には登場しない父親との出会い等を描く「劇場版花咲くいろは HOME SWEET HOME」も併せて見ると本作の世界をより良く理解できるようになる。
6.ブラコン&シスコンものの秀作、秋葉原オタク・カルチャー紹介
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 2010年秋
2013年春
★★★★ ★★★☆ Wikipedia AIC Build(1期)
A-1 Pictures(2期)
ライトノベル原作
自分の兄貴を好きになってしまう少女の話は色々あるが、妹側は気づいていないが実は血のつながった兄妹ではない(お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ)とか、本人たちは実の兄妹ではないと知っているが兄貴には心に決めた恋人がいて妹は「負けヒロイン」になってしまう「ソードアート・オンライン(フェアリィダンス編)」のような月並みな結末に大抵は終わってしまう。
しかし本作品のヒロインは、3歳年上の兄貴を恋い慕っていた小学生時代に、兄貴と幼馴染で同級生の「兄貴を自分から奪い兄貴を変えてしまった」憎い眼鏡っ娘の中学生たるラスボスに「兄貴に恋してる妹なんて気持ち悪いだけ」「妹は兄貴と結婚できない」と釘を刺されて、それでも思いを絶てずに「どうしたら駄目じゃなくなるのか」未来の自分に懸命に問いかけるメッセージを遺す。今のこの思いを決して無くさないために・・・。
OPに当時まだニコニコ動画に投稿していたClariS(このあとすぐ「魔法少女まどか☆マギカ」のOPでブレイク)を起用したり、背景人物が余り動かないなど本作品はどちらかといえば余り高い予算で制作された部類ではない思われるが、原作と脚本が優秀だったためか「あにこれ」の総合得点ランキングでは42位に過ぎないのに「お気に入り登録者数ランキング」では11位という人気作になった。
美少女で頭も良くスポーツも万能なのに何故か「妹ゲー(エロ・ゲーム)」オタクの妹に軽蔑され邪険にされても結局いつも彼女を助けてしまう兄貴の「実は良い奴」ぶりにばかり話が逸れてしまう第1期+第2期の12話まではまだ月並みな「ツンデレ込みのハーレム系アニメ」に見えてしまうが、妹側の事情が次第に明らかになっていくTV放送最終話とTV未放送(WEBのみ配信)3話で一気に話がブッ飛ぶ(※但し最初から視聴し直すと随所にラスト4話につながる様々な伏線が張られておりアニメとしては最初からこの結末に照準を合わせて制作が進行していたらしいことが分かる)。
秋葉原オタク文化を非常に詳細に解説している点も含めて、この奇抜なストーリー展開はアニメでなければ不可能だろう(肯定的な意味で)。ラスト3話をWEB配信だけにしたのも納得である。
7.残念系ラブコメI(主人公が筋金入りの「ぼっち」)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 2013年春
2015年春
★★★★ ★★★☆ Wikipedia ブレインズ・ベース(1期)
feel,(2期)
ライトノベル原作
子供時代からずっと「ぼっち(一人ぼっちの略)」で、最早「ぼっちのサバイバル哲学」まで体得している高校生が、指導教師に強制されて入部した「奉仕部」で部に持ち込まれる様々な問題を部員の少女たちと協力しながら解消(≠解決)していく過程で彼女達との心の交流を深めていく、という物語構造は、後段の月並アニメ(☆級)欄で紹介する『僕は友達が少ない』と似ており、こうした「ぼっち」の友達づくり・恋人づくりをテーマとした物語を「残念系ラブコメ」と呼ぶそうである。
しかしこの作品の登場人物達の思考パターン・行動パターンは、コメディ要素が強く比較的楽天的な『僕は友達が少ない』のものとは大きく異なり、非常に現実的でシリアスなものとなっている。
特に主人公の少年は、周囲の人物達の思考や行動を先回りして読むとともに、問題解消のために自ら憎まれ役を買って出て、しかも何の報酬も期待しないという特異な行動を常としており、そのために周囲の大多数の人たちからは誤解されるが、「奉仕部」部員の少女達や指導教師からは次第に好感を持たれていくことになる。
おそらく今後のストーリーは、性格の対照的なこの2人の少女と筋金入りの「ぼっち」の少年とのかなりシリアスな友情と恋愛感情の相克劇に発展していくものと思われるが、原作がまだまだ未完なので続編アニメが始まるのは数年先になると思われる。
今のところ主人公の少年の内面心理だけが高い説得力をもって描写されている段階に留まるが、今後2人の少女(特にもう一人の筋金入りの「ぼっち」の少女の側)の内面心理も同様の緻密さを持って描出されていくならば、この作品は傑作アニメへと大きく化ける可能性があり、期待したい。
α.実在アイドルを本家取りした企画もの
AKB0048 2012年春
2013年冬
★★★★ ★★★★☆ Wikipedia サテライト オリジナル
実在するアイドルグループの宣伝企画として制作されたために、放送当時はアニメコミュニティから警戒されたのか余り話題にされず結果的にいまひとつ盛り上がらずに終わってしまった作品であるが、実際に視聴した人々からは「思いのほか優良作である」とする評価が多く出されており、色眼鏡を外して視聴してみると、確かに全編通して脚本・作画とも文句のつけようのない高クオリティで統一されている、掘り出し物アニメである。
本作品は、アイドル成長ものとしては「THE IDOLM@STER」と互角といえる水準にあり、シリーズ構成・脚本を担当した岡田磨里氏によるヒロイン達のシリアスな感情描写も的確であり、少女たちが神懸り的な方法で襲名メンバーに選出されたり・アイドルの輝きという不思議な現象を引き起こしたりというSF要素もふんだんに取り入れられており、それに加えて、実在アイドルを本家取りした作品ならではの要素として作品中のキャラの本家を意識した描き分けも楽しめるという、非常にエンターティンメント性の高い内容に仕上がっている。
β.擬人化艦隊ものI
艦隊これくしょん -艦これ- 2015年冬 ★★★★ ★★★★☆ Wikipedia ディオメディア ゲーム原作
今後の展開に期待。
γ.擬人化艦隊ものII
蒼き鋼のアルペジオ ARS NOVA 2013年秋 ★★★☆ ★★★★ Wikipedia サンジゲン 青年漫画派生
フル3DCG作品でありながらキャラの内面描写も確り行われており、2013年の最後になってダークホース的な評判をとった異色作。
こうしたフル3DCGが今後アニメ制作の新しい潮流となる可能性を垣間見せたという点で本作品はアニメ史上の重要なターニングポイントとなるのかも知れない。
δ.ヒーローコンビもの+オヤジ萌え
TIGER & BUNNY 2011年春
2012年秋(劇場版第1作 "The Beginning")
2014年冬(劇場版第2作 "The Rising")
★★★☆(TV版・劇場版第2作)
★★★★(劇場版第1作)
★★★☆(TV版)
★★★★(劇場版第1作)
★★★★☆(劇場版第2作)
Wikipedia サンライズ→BN Pictures オリジナル
包容力の高いオヤジ(成熟男性キャラ)萌え+精神に深い傷を持つが有能で美形の青年(イケメン若造キャラ)萌え。
ストーリー自体はさほど評価できるものとは思えないが、腐女子にキャラ人気が高いとする情報が多くある(分かり易い解説を求む)。
ただし主人公・鏑木T.虎徹(大都会で悪人を退治し市民を保護するヒーローを長年勤める正義感の強い超能力オヤジで愛妻を病気で失っており、今は祖母の下に預けている10才になる娘を溺愛するパパでもある)は、周囲の同僚に対するさり気ない配慮も完璧な中々好感の持てるキャラに描かれており、同僚の女子高生・ブルーローズが彼に恋心を抱いてしまうという展開も意外と納得できるものとなっている(ここら辺りに当作品への腐女子人気の秘密があるのかも知れない)。

なお、TV版第1話・第2話を再構成し新作エピソードを追加した劇場版第一作(The Beginning)が2012年に公開され、続いてTV版最終回からの続編となる劇場版新作(The Rising)が2014年2月に全国公開された。


▲3-4.月並アニメ(☆級)

及第点はクリアしており、見て損はないであろうもの。
※ここで紹介する作品は、★級の作品に比較して脚本・作画とも遜色がなく、むしろ★級の一部作品を上回る秀逸な出来栄えの場合さえあるが、その作品でなければ味わえない特別な部分がそれほどない、という意味で「月並アニメ」と呼んでいます。従って平均点・総合点では★級よりむしろ高い作品も多いです。
タイトル 時期 評価 Wikipedia 映像制作 原作など
脚本 作画 楽曲・声演
作品解説
1.仮想世界と現実世界の交差
ソードアート・オンライン 2012年夏
2014年夏
★★★☆ ★★★★ Wikipedia A-1 Pictures ライトノベル原作
「ガールズ&パンツァー」が放映されるまでは2012年の一番人気アニメかと思われた作品。
本作は、第1部(アインクラッド編)と第2部(フェアリィダンス編)でメインヒロインが明らかに交替する(第1部が気丈な年上キャラ、第2部が繊細な義妹キャラ)という巧みなWヒロイン構成で視聴者を飽きさせず原作者(川原礫氏)の作家としての力量を感じるが、第1部の4000人にのぼる一般プレーヤーが一切報われずに死亡してしまったり第2部の敵ボスキャラの扱いがあんまりだったりと、各部の結末がもう少し後味の悪くないものにならなかったのか不満が残る。しかし原作は近年屈指の大ヒット作となっておりアニメ第2期の2014年内の制作・公開も発表されているので今後の新たな展開には期待したい。
また原作者の別作品であるアクセル・ワールドもやはり仮想世界と現実世界の交差を描いたもので一部で人気がある。
2.魔術師+英霊タッグ戦
Fate/Zero 2011年秋
2012年春
★★★☆ ★★★★ Wikipedia ufotable ライトノベル原作
大作風の作りで視聴者を大いに期待させ、実際にも脚本・演出・作画とも相当な水準にあるが、作品テーマが確りしていないためにシリーズを通して視聴し終わると何故か余り心に響かない一寸残念なタイプの作品というものがある。
この作品はそうした失敗作とまでは言えないにしても、おそらく視聴者の感情移入の対象となる本命キャラを絞り切れなかった(女性キャラが既婚者か幼女ばかり、かつ男性キャラも性格が破綻しているか中年キャラが多かった)ために結果的に今ひとつ盛り上がらない作品となってしまった。
なお本シリーズには他に時系列的には本作の続編となる Fate/Stay Night や、平行世界で登場人物(画面の銀髪の少女)が魔法少女となってカードを集めるFate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤがある。
3.女子中学生の日常生活と超能力戦の交差
とある科学の超電磁砲 2009年秋
2013年春
★★★ ★★★☆(第1期)
★★★★(第2期)
Wikipedia J.C.STAFF ライトノベル派生漫画原作
ヒーロー・ヒロインが分散してしまった「Fate/Zero」とは逆に、先端科学を追求する学園都市に住む、電磁波を自在に操る超能力を持ちながら内面は年齢相応に乙女チックな中学2年の少女を本命ヒロインに据えて、彼女の身近な視点から物語を進め、コメディ要素を交えて超能力者同士あるいは超能力者に挑戦する科学者達とのバトルを次々と描いて好評を得たシリーズ。
実はこの作品は「とある魔術の禁書目録」から派生した外伝であるが御坂美琴と彼女のクローンであるSistersに注目が集まり、本編よりも人気が出て、本編の方まで(特に第2期)御坂美琴が本命ヒロインに化けてしまった(修道服を着た本来のヒロインが空気化し単なる道化役になっている)。
はっきり言えば本シリーズのストーリーは突っ込みどころ満載のご都合主義の産物でしかないが、視聴者が強く感情移入してしまうヒロインが一人いれば、そのようなストーリーの粗など幾らでも帳消し可能なほど人気が出ることの良い実例となっている。
4.スクール・アイドル
ラブライブ! School idol project 2013年冬
2014年春
2015年春(劇場版)
★★★☆ ★★★★ Wikipedia サンライズ オリジナル
>} 2013年~14年春にかけて人気ナンバーワンとなった作品であり、出版社・音楽会社・アニメ制作会社の3者の合同企画したスクールアイドルグループ「μ's(ミューズ)」のプロモーションの一環として、ターゲット層の好みを計算し尽くして制作されたアニメである。
従って、脚本の面でも作画の面でも、面白いアニメというよりは巧いアニメという表現がピッタリだが、こうしたある意味で(「アイドルマスター」の成功を受けての)二番煎じ的な企画を狙いどおりに大人気作品に組み立てる技術が一応確立されていることに我々はむしろ感嘆すべきだろう。
第1期そして第2期の大成功を受けて、新作映画の制作が発表されている。
5.残念系ラブコメII(主人公が優柔不断な「ヘタレ」)
僕は友達が少ない 2010年秋
2013年冬
★★☆ ★★★☆ Wikipedia AIC Build ライトノベル原作
「ぼっち」の少年少女の友達づくり・恋人づくりをテーマとした「残念系ラブコメ」の代表作。
転校先の高校で母親譲りの金髪のせいで周囲から不良と勘違いされてしまい転校から1ヶ月経っても一向に友達が出来ないハーフの少年・小鷹は、同級生の美少女・夜空(実は子供時代に小鷹とお互いにたった一人の親友だったのだが小鷹が全く忘れていて気づいてもらえず悩んでいる)の発案で友達づくりを目的とした部活「隣人部」を作る。
学園理事長の娘・星奈(実は小鷹とは父親同士が親友で、幼いころ小鷹と許婚の約束をしていた)や天才科学者の後輩・理科らも隣人部に集まり、友達づくりのための様々な活動が始まるが・・・。
同じ残念系ラブコメで、面白アニメ(★級)欄で紹介している『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』と比較して、本作品はコメディ要素が非常に強く、設定も相当に支離滅裂でご都合主義的な部分が目立って、良く言えば「余りストレスを感じず軽い気持ちで視聴できる」が、悪く言えば「内容が薄く話に説得力がない」。
おそらく『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』のようなリアルでシリアスな作品を好む人は、この作品の人物設定やストーリー展開には余り高い評価を与えないだろう。
しかし第2期のラスト近辺でようやく、物語の当初から本命ヒロインと見られた夜空が、小鷹の「恋人」の地位を星奈に、また「友達」の地位を理科に先に奪われそうになり、いたたまれなくなって小鷹たちの前から逃げ出してしまう、という意外な展開が打ち出されており、今後はこれまでのコメディ路線を踏み台にしてのシリアス展開があるのかも知れない。
6.エンターティンメント特化のハーレム系アニメ
これはゾンビですか? 2011年冬
2012年春
★★★ ★★★★ Wikipedia スタジオディーン ライトノベル原作
上記の『僕は友達が少ない』は、男一人の周囲に美少女が多人数登場し、その各々がいつの間にか男に好意を寄せてしまう、といういわゆる「ハーレム系アニメ」だが、それでも一応は「友達作り・恋人づくり」というテーマ性を持っている。
しかし、そうしたテーマ性を特に持たずに、ひたすらエンターティンメントに特化したラブコメ(純粋なハーレム系アニメ)も毎期のように制作され放映されている。
本作品は魔法少女ものや学園ラブコメ等の色々な要素をパロディ化しつつ組み合わせたかなり陳腐な内容だが、作画や演出の出来が良く特に第1期の第1話は傑作といってよい出来栄えとなっている。
同様に、作画・演出のレベルが高い一方でテーマ性(作品内容)は欠けており、しかしその分(主に男性が)頭の中を空っぽにして楽しめる作品として、同じくライトノベル原作の「織田信奈の野望」(2012年夏・「戦国武将女体化もの」というジャンルのハーレム系アニメの代表作)も一時期かなり話題になったが、こちらはアニメ放映によって原作の販売促進にはなったものの、視聴者のアニメソフト購買(作品保存)意欲を喚起するには至らず、現在までのところアニメ続編の制作が難航しているという。
7.エンターティンメント特化の戦闘美少女もの
灼眼のシャナIII FINAL 2011年秋 ★★★★ ★★★☆ Wikipedia J.C.STAFF ライトノベル原作
本作品は第1期(2005年)・第2期(2007年)を受けての完結編で、同シリーズの中では最もストーリーが大胆で波乱に富んでおり見所の多いものとなっている。
天罰神・アラストールらによって英才教育を受けた“炎髪灼眼の討ち手”シャナと、シャナに恋しつつ人を喰らう「紅世の徒」に憐憫の情を注ぎ彼らの居場所を創造しようとその盟主「祭礼の蛇」の依代(よりしろ:神霊の宿る先)となってシャナと敵対してしまう少年とのすれ違いの恋情劇が話の中心軸だが、対立する両陣営の戦闘の描かれ方が戦史マニアを喜ばせる位にマニアックで見応えがあり、また多数登場するサブキャラにも各々晴れ舞台が用意されていて、まるで歌舞伎を見ているような感覚がある。
もともと本シリーズはツンデレもの(少女が凡庸な少年を初めは軽蔑してツンツンしていながら、次第にデレていく=恋愛感情を抱き始める、という構成の物語)の走りであるが、少年側が凡庸な立場に留まらずに戦闘能力でも精神面でも少女と対等以上の位置に到達してしまう(=出世キャラとなっている)ところに本作品の意外さがあるほか、「負けヒロイン」であるもう一人の少女のシャナへの嫉妬の感情とその昇華とがきちんと描かれている点も本作品を他のツンデレ作品とは異質なものとしている。
8.幼馴染の友情&恋心
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない 2011年春
2013年夏(劇場版)
★★★☆ ★★★★ Wikipedia A-1 Pictures オリジナル
涙腺崩壊続出の感動アニメ。作画・演出・楽曲のいずれも高レベルだが、ストーリーが予定調和的すぎて物語に大切な意外性が不足しているのがちょっと残念(その点では上述の「花咲くいろは」と同様)。でも素直に感動できる良質なアニメであることは確かだ。
α.学園ラブコメ、特殊能力なし中二病もの(女)
中二病でも恋がしたい 2012年秋
2013年秋(劇場版)
2014年冬
★★★☆ ★★★★☆ Wikipedia 京都アニメーション ライトノベル原作
中二病癖のせいで中学時代を「ぼっち(友達いない=一人ぼっちの略)」で過ごしてしまい高校進学を機にこの恥ずかしい悪癖から卒業しようと決めていた少年が、入学早々なぜか過去の自分と同じ症状の少女に付きまとわれてしまい、気になる美少女やクラスメート達に自分の過去がバレないかヒヤヒヤな毎日を送る羽目に。
優良アニメ(★★級)で紹介した「STEINS;GATE」に比べるとストーリー自体は今ひとつ捻りが足りないが、作画も演出も緻密で登場人物たちの感情表現にも無理がない。
サクサクと視聴が進んでしまう流石の面白さに加えて、最後にちゃんと“中二病でも恋していいんだよ”という好意的メッセージを届けるところは、やはりクオリティは高いと云わねばならない。
ただし2014年春に放送された第2期はストーリー面で若干期待はずれとなってしまった。
ちなみに動画にある少女の眼帯は(「11eyes」や「コードギアス」でお馴染みの)「邪気眼」を封印するため必要なものであるが本作品の登場人物たちにはこのような特殊能力はない。
β.都市伝説+仮想現実もの
デュラララ!! 2010年冬 ★★★ ★★★ Wikipedia ブレインズ・ベース ライトノベル原作
人物描写に深みが欠けるうえに相当にご都合主義的だが、ストーリー展開が全く先読みできない意外性のある作品。
γ.文化・祓魔もの
青の祓魔師 2011年春
2012年冬(劇場版新作)
? ? Wikipedia A-1 Pictures 少年漫画原作
古都系魔術的作品。数々のストーリーながら、「鋼の錬金術師」よりもイメージに無駄な場面も含まれているが、それ以外はしっかりとした良作(動画は劇場版のもの)。
δ.理科・科学もの
鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星(劇場版新作) 2011年夏 ? ? Wikipedia ボンズ 少年漫画派生
美形に見立てた外見をしていながら、実は科学の知識と正義を描き出している最高の傑作。「ONE PIECE」の倍とも言われる強い偏見を持たれそうな作品だが、構成に雑な箇所が含まれているTV放送版(2003年、2009年)ではなく、劇場版一作(2005年)、そしてこの劇場版第二作を先ず見ると良いと思われる。

▲3-5.特に見なくてもいいアニメ

重要:本項に作品を追加する場合は次の各項に従ってください。また、この注意事項を改定(条項の追加・廃止・変更など)する場合は独断で行わずに掲示板で諮るなどしてから行ってください。
  1. 掲載する作品がそうしたものであることを具体的に示すこと
  2. 次に該当する関係先が反日認定されているだけでは追加しないこと
    1. 原作書籍の出版社
    2. 放送したテレビ局
    3. 映像・音響部分(声の出演含む)のスタッフ
    4. 映像制作会社またはその親会社
    5. スポンサーまたは作品を使用している企業
タイトル 時期 Wikipedia 映像制作 原作など
動画 作品解説
1.スタジオジブリ作品
2.その他反国防・反原発・原始共産制を唱える作品
3.本当に子供向けのもの

■4.補論:80~90年代アニメの左翼汚染について

タイトル 時期 評価 Wikipedia 映像制作 原作など
脚本 作画 楽曲・声演
動画 作品解説
宇宙戦艦ヤマト2199 2012年春~13年夏(劇場版全7作)
2013年春(TV版)
★★★★ ★★★★☆ Wikipedia XEBEC
AIC
70年代アニメのリメイク
本作は■2.アニメの古典欄でも紹介している1974年TV版放映・1977年劇場版公開で空前のアニメ・ブームを巻き起こした「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版リメイク作品である。
この作品は2012年から2013年にかけて全7章が順次制作されほぼ3ヶ月置きに劇場公開されたが、最初は公開館10と非常に小規模であったものが盛況を得て、12館さらに16館へと次第に公開館数を増やしていき、さらに劇場版を元にしたTV版の放映が決定し、それも好評を得て2014年度の完全新規作となる続編の制作・公開が決定している。
ただ本作を一見して気づくのは「作品の高クオリティと比較して既存マスコミで話題にされるケースが非常に少ない」という点である。
これは要するに左翼が根強いマスコミとしては「旧日本海軍の旗艦やその沈没に至った作戦行動(沖縄救援作戦)を連想させる作品は極力国民の目から遠ざけたい・無視させたい」ということであろうが、実はこの点に関しては約40年前の初代「宇宙戦艦ヤマト」の場合も同様であったそうで当時のTV版は児童アニメの名作「アルプスの少女ハイジ」の裏番組という扱いを受けて放映期間短縮(事実上の打切り)となり3年後の劇場版も当初は僅か4館の小規模公開でしかなかったものが劇場前に長蛇の行列が自然発生してしまうなど草の根的な人気が出て公開館が全国に広まり大ブームになったとされる。
インターネットが存在しなかった1970年代~90年代前半はマスメディアで左派的言論が横行していたことは有名だが、アニメの世界でも1977年以降のヤマト・ブームに対して、これを「ナショナリズム」復活の兆候と警戒する左派陣営から組織的な反撃が行われたと考えることは不思議ではない。

■5.参考サイト

▲5-1.当ページ掲載作品を選ぶ上で参考にしたサイト

お知らせ:本項の内容は改良前のページ内容に対するものですが、記録のために存置しています。
↓リンクを表示する場合はここをクリック
対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。
※当ページはネットで最大級の一般参加型アニメ評価サイトである「あにこれ」のアニメ総合得点ランク上位25作品を参考にして、そのうち
(1) 2006年以降放映の現代アニメであること、
(2) 比較的低年齢層ないし低リテラシー層から評価ないし無視されているために作品の実際のクオリティに対して過大評価となっている又は過小評価となっているおそれが高い作品については各々評価を補正すること、
等を考慮して主な掲載作品を選定しています。
掲載作品の選定上の偏りの補正やページ内容の公平さの確保のため、該当サイトを併せてご参照ください。
#endrefion

▲5-2.当ページに関するご提言・ご批判

お知らせ:本項でリンクしている記事は改良前のページ内容に対するものですが、記録のために存置しています。
↓リンクを表示する場合はここをクリック
対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。
(1) “アニメの基礎知識”のページへ意見、それとTPPのこと cancerkiller173のブログ『AD173丁目』様
(2) つまりアニメを毛嫌いする者こそサヨク精神の持ち主だったということさ
(3) ネトウヨ「ガルパン、とらドラ、まどマギ、けいおんはS級愛国傑作アニメ。ジブリは反戦左翼D級アニメ」 2ちゃんねる・ニュース速報(嫌儲板)
(4) ネトウヨのアニメ考察サイトwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 2ちゃんねる・雑談系(ハロプロ板)
(5) ネトウヨ「ガルパン、とらドラ、まどマギ、けいおんはS級の傑作アニメ! ジブリや反戦・非武装平和・反原発・空想的社会主義を賛美するような左翼系はD級の見なくてもいいアニメ」 アニメ感想ブログ「やらおん!」(旧2chアニメ板まとめサイト「今日もやられやく」)様

■6.関連ページ

文学の基礎知識《補訂》 アニメや実写ドラマの基礎シナリオを考察する上で参考になる文学作品の古典を紹介していくページ

■7.ご意見、情報提供

当ページ作成者よりアニメに詳しい人は多数いると思います。&color(green){ページ内容向上のためのご意見・情報提供}を歓迎します。

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最終更新:2016年12月05日 21:56