ケメコのモンハン日記

 

○月×日

独り地底で過ごすこの生活は、とにかく暇だ。暇すぎる。
暇つぶしにとよしこに勧められて始めたツムツムもあらかたやり尽くし、
すぐにまた暇を持て余す日々に戻ってしまった。

じゃあこれをやってみたらと、そこでよしこに勧められたのがモンハンというゲーム。
アクション系は苦手なんだけどと渋るあたしに、そんなの慣れればどうにかなるし、
とにかく一度ハマればとことんまでハマる時間つぶしには最適なゲームらしいからという、
そんなよしこのごり押しに負けて、あまり気乗りしないながら結局始めてみた。

まずはキャラクタを作成。名前は無難に「kei」でいいかな。
後は容姿とか一通り決めて……と。

実際キャラクタを操作してみてまず困惑したのは、慣れない3D視点。
自分の動きと視点が噛み合わず、どこをどう動いてるのかよくわからなくなってくる。
必至に目で追っていると、段々と3D酔いしてきた。
初っ端からこれじゃ、これからも前途多難かもしれない。


○月△日

ようやく3D視点にはついていけるようになってきた。
フィールドをうろつき回ってチマチマと採取作業をするのもなんか楽しい。
でも……肝心の攻撃が全く当たらないし(怒)

武器は大剣ってのを選んだんだけど、当たれば威力はデカいものの、
これが全然かすりもしない。しかも動作が遅すぎるし、
ピョンピョンと機敏に動き回る敵に躱されまくりの翻弄されまくりで、
チマチマとダメージを食らうばかりで腹が立つことこの上ない。


やっぱりあたしにアクションゲームなんて無謀だったんだ……と匙を投げようとしたら、
それならオンラインでやってみなよ、とよしこが提案してきた。

いやいや、一人だってボロボロな状態なのに、他人に迷惑がかかるオンラインなんて
無理に決まってるじゃないのと反論するあたしに、
上級者にちゃんと教えてもらいながらプレイすれば上達も早いからと、
なにやら色々設定して初心者用の部屋を立て、やってみろと押し付けるよしこ。
勢いに押されて、初めてオンラインに足を踏み入れたあたしは、
そこであたしのコーチとなってくれる熟練ハンターに出会うこととなった。

そのハンターは、右も左もわからないようなあたしに対しても
実演を交えながら一から懇切丁寧に教えてくれて、
ようやくあたしもなんとなく操作感覚がつかめるようになってきた。

今日一番の収穫は、大剣は基本納刀で移動しヒットアンドウェイ。
なるほどこれなら動きが遅くなることもなく、敵を見極めて攻撃ができるから
ちゃんとヒットしやすいのか。うん勉強になった。

たまたまこの部屋に来てくれたのか、よしこが呼びこんだのかはよくわからないけど、
これはホントいいコーチと巡り合うことができた。
もう嫌気が差して投げ出す寸前だったけど、
これなら今後も続けられそうな、ようやくそんな気になってきたかな。


○月■日

初めての大型モンスター討伐成功!!
とはいっても最初に遭遇する弱っちい相手だけど、
それでも一人でしっかり討伐できたのだから、あたしの実力を考えれば上出来すぎる。

コーチもあたしの奮戦をしっかり見守り、事あるごとにアドバイスしてくれた。
回避と回復、その2つを心掛けながらチャンスを窺ってのヒットアンドウェイ。
その教えに従ったおかげで、こんなあたしでも勝てたのだから、
やっぱりコーチが優秀なんだろう。

よーし、この勢いでこれから狩って狩って狩りまくるぞ!!


▲月×日

長かった。ホントに長かったけどついに!
このゲームの一区切りとなるボス的モンスターを討伐することができた。
もちろんゲームはまだまだ続くんだけど、このあたしがこれからは
上級者の仲間入りするところまで来たかと思うと、感無量の一言だ。

もちろんあたしがこれほどのレベルになれたのは、
ずっと指導してくれたコーチの存在があってこそ。
親身になってあたしのことを引っ張ってくれただけではなく、
時には厳しく怒られたことだってあった。

一時期ハンター生活に慣れてきて、もうあたし一人でなんでもできると
浅はかにも無双気分に浸っていたことがあった。
そして、オフラインのクエストで練習しておくようにというコーチからの忠告も無視した結果、
翌日の討伐はグダグダのボロボロになり失敗。


『だから練習しろっていったでしょ!』

と、こっぴどく怒られた。
コーチに怒られたのはその時が最初で最後。
それからは反省して心を入れ替え、その結果ここまで来れたのは
コーチがあそこでちゃんと叱りつけてくれたからだと感謝している。

……そういえばずっと昔、よしこ達に同じようなことを叱った記憶があるような。


それはともかく、コーチには改めてちゃんと感謝の言葉を伝えないと。
なんて思っていたら、コーチから思いもよらない質問が。

『ところで圭ちゃん、つんくさんの居場所って知ってる?』

へっ? なんでいきなりつんくさん??
これまでモンハン関連以外の会話なんてしたことないのに、
ちょっと唐突すぎるんじゃないそれは?

まあ確かに、今のあたしはこの場所から動けない分、目ぼしい知り合いには
いざという時すぐ接触が取れるよう事前に探知の魔法をかけている。
だから調べようと思えばそれくらいすぐにわかるんだけどさ。
ただ、仮にも三大魔道士の一人の居場所なんかを簡単に教えていいんだろうか。


でもそんなことを訊いてくるってことはコーチも多分ただ者ではないんだろうし、
これまで散々世話になってるから恩返しにそれくらいはいいかな。
えっと、今つんくさんがいるのは……ここか。

『”南西のTN2209海域の孤島”にいるわよ』

『ありがとー、さすが圭ちゃん頼りになるね』

いえいえ、これくらいお安いご用だから。
よくわからないけど、ちょっとだけでもコーチの役に立ててよかったし。

……あれっ?
そういえばキャラ名は「kei」にしてるけど、コーチの前であたしの名前が「圭」だと
漢字で入力したことはなかった気がする。なんでコーチは知ってるんだろ。
記憶にないだけで、これまでの会話の途中にどこかで名乗ってたのかな。
それに考えてみれば、散々お世話になってきたこの「G.M」というキャラ名のコーチのことを、
あたしってば詳しいこと何にも知らないかも。

でもまあいっか。
あたしにとってコーチはコーチだし、モンハン生活を続けていく上で、
それ以上のことは別に知る必要もないことだしね。


よしこの目論見通りすっかりハマってしまったモンハンの世界。
これからも色々と頼りにさせてもらうんで、よろしくお願いしますね。

ねっ、コーチ。


(おしまい)

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最終更新:2015年03月07日 21:46