Happy大作戦 ~実践編~


「ねえまーちゃん、この頃さぁ、尾形ちゃんの様子がなんか変だと思わない?」

「変ってどーゆーこと?」

「ちょっと離れたところでみんなのことジッと眺めてニヤニヤしてたりさ」

「別に前からあんな感じでしょ。きっと好きなんだよあーいうのが」

さすがはまーちゃん、どこまで深く考えているのかはよくわかりませんが、
真実を見抜く目をしっかり持っています。

「まーちゃんのこともよく観察してるようだけどね」

「うっそ何それ!? 信じられないんだけど!!」

そのくせ自分自身のことになると全然見えてなかったりするのですから、
そのギャップがいかにもまーちゃんらしくて面白いです。

「ほんとほんと。尾形ちゃんって案外まーちゃんのこと気になってるんじゃないかな?」

「ちょっとそんなわけないじゃん変なこと言わないでよ!!」

怒ったように声を荒げてまーちゃんは席を立ってしまいましたが、
それでも私の下準備はしっかり完了しました。


『尾形ちゃんがまーちゃんのこと気になってる』

というまーちゃんにかけた呪(しゅ)。
この言葉が胸に引っかかって、遅効性の毒のようにジワジワと心の中に侵食していくはず。

ちなみにこの呪は魔法ではありません。言葉を操る拝み屋の手法です。
なお、また漫画が元ネタかよというツッコミは無しでお願いします。

とはいえ、この呪は時間をかけて徐々に効いてくるタイプのものですし、
ましてやかけた相手がただでさえトリッキーなまーちゃんですから、
いつどのタイミングで実際に効果が表れるかはまったく読めません。

忘れた頃にでも何かいい方向に転んでくれればラッキーかなくらいの、
ほとんど宝くじ感覚に近いほんの軽い気持ちの行動だったのですが……。

その効果は思わぬところで、そして思いもよらぬ形で表れたのです。

今年の舞台も無事幕を下ろし、そして迎えたシングル発売記念イベント。
内輪なカプネタで盛り上がることも多いイベントだけに、
もしかしたらまーちゃんが尾形ちゃんにちょっかいをかけたりもあるんじゃないかと
軽く期待はしていたのですが、残念ながら特に目立ったハプニングもなく
あっさりとイベントも終盤に差し掛かりました。

ラストの全員握手では並び順がまーちゃんと尾形ちゃんで隣同士だったため、
さすがに忙しい握手の最中に何か絡みがあるとは思えないものの、
それとなく横目でチラチラと確認していたのが、結果的には大正解でした。

チュッ!!

「ふぁぁぁ!!!!!」

事件はまさに突然でした。
握手の流れが緩んだわずかの隙を逃さず、まーちゃんがいきなり
隣にいる尾形ちゃんのほっぺにチューをしたのです。

素っ頓狂な声を上げて、その場に崩れ落ちそうな勢いで動揺を見せる尾形ちゃん。
してやったりのドヤ顔をするまーちゃん。
何があったかと好奇の視線を向ける周りのメンバー。
ちょうど目の前で握手していたファンの方はポカンと口を開けて思わず固まり、
ハッと我に返るとニヤニヤしたまま流されていきました。


まさかこのタイミングでまーちゃんが攻勢をかけるとは、
しかもいきなりのチューという爆弾を投下するだなんて、
さすがに予想もしていませんでしたが、いかにもまーちゃんらしくもあります。

ただ、ここでチューしたからといってカプとしてそれ以上の進展があるかというと、
なにせまーちゃんだけに期待薄でしょうけど、
それでも尾形ちゃんの心を強く揺さぶったというのはとっても大きな成果です。

これからも色んなメンバーに隙あらば呪をかけていき、徐々に包囲網を狭めていけば、
今回のように尾形ちゃんがドキッとするような場面も増えていくはず。
そしていつか、胸ドキの中から恋心が芽生えて……という展開になれば、
尾形ちゃんも立派なラブコメの主人公に昇格です。

はたしてどれくらい先の話かはわかりませんが、それが現実のものとなるその日まで私は、
この調子でコツコツと裏工作を続けていきたいと思います。

次に呪をかける相手は誰がいいか……。
フフフ、色々策略を巡らせるというのも、なかなか楽しいものですね。


(おしまい)


※参考
614 名前:名無し募集中。。。@無断転載は禁止[] 投稿日:2016/07/03(日) 20:43:35.30 0

一切がっつかずに世紀の凡握手してたんだけど、まーちゃん終わってはーちんに行ったところで、
まーちゃんがはーちんにいきなりチューして「ふぁぁぁ」ってなる一部始終を眼前で独り占めして至福すぎた\(^o^)/

 

Happy大作戦     その場面でビビっちゃいけないじゃん!

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最終更新:2016年09月20日 03:10