娘。小説書く!『魔法使い○○○ん』


「失礼します」

野中美希は一つ深呼吸をして、戸をくぐった。
深く椅子に腰掛けた50絡みの男が、美希を迎え入れる。

「ご苦労。まあ、楽にしてくれ」
「はい」

男の前まで歩み出た美希は少しだけ肩の力を抜いた。
相手の表情が幾分柔らかかったこともある。
きっとそんなに悪い話では無いのだろう。

「早速だが、お前の担当地区が決まった」
「はい」

「M13地区に行ってもらう」

その地区に聞き覚えがあって、暫し考えた美希は、その意味にたどり着いて思わず声を出した。

「M13地区……ですか?」

「そうだ。お前には『三大魔道士』の一人を監視、報告してもらうことにした」

美希が辿りついたことを裏付けるように男の口からそう告げられる。
『三大魔道士』とは魔道士協会に所属していない、一人で魔道士協会を向こうに回すことも出来る程の
三人の大魔道士達のこと。
敵対しているわけではないが、協会としてその対応に苦慮するような相手である。

「それはつまり、三大魔道士の一人と戦うということでもなく、M13地区に逃げ込んだ犯罪者を捕まえる役、
 というわけでも無い……?私はそこで何をすればいいんですか?」


いまいち釈然としないまま、しかしいろいろな想いが巡る思考を纏めようと美希は言葉を発した。
「だから『彼女』の監視と報告だよ」

男の笑顔に何か不自然なものを感じずにはいられない。


「と、言うのがまあ上に説明した表向きの理由だ」

男の肩からふっと力が抜けたように、笑顔が柔らかくなった。


「まあ、俺も人の親だからな。
 娘の様子を見てきて欲しいんだ」

美希も感じていた想いが男の言葉と一致したことに緊張を解いた。

「それと、お前も協会の若手で最強の魔道士なんて言われてるがまだまだ子供だ。
 協会の外で色々と学ぶのも悪く無いと思ってな。実際危険でもあるが…
 M13地区は全国でもトップクラスに魔道士の多い地区だが、協会に所属していない魔道士の数では
 ダントツでトップだ。何があるかは分からんし、他に任せられる奴がいないのも事実」

「はい」

「そこで、何をすればいいか?ということだが
 学び、成長し、見つけてくれ。娘と一緒にな」

目の前の男が親の顔を覗かせたことが嬉しくて、美希の顔に自然と笑みが浮かんだ。

「手紙だけじゃなく、たまには帰ってくるように娘に言って貰えると嬉しいが…」

「あの子は、意地っ張りですからね」

「そうだな」


一頻り笑った後、男が上司の顔に戻る。

「では野中美希、M13地区への配属を通達する。
 任務は三大魔道士の一人”KY”生田衣梨奈の監視、及び情報収集、報告。
 一人での任務になるが、常時M13地区近隣で自由に動かせる魔道士を置くよう手配する。
 移動は1週間後。住居及び、学校への転入手続きも局の方で行う。
 これまでとはかなり違う質の業務になることが予想される。
 身を優先し、無理はせず業務に当たって欲しい」

「はい」

「以上だ。ご苦労さま」

「では、失礼します」


美希が退室する間際、また親が顔を出す。

「娘を、春水をよろしくな」

美希も子供の笑顔で答えた。

「はい、尾形局長、では!」



ハ*`・_>・ル<『魔法使いはーちん』、春水堂の自販機で絶賛発売中やで!!

ノナ;o’u’o)<登場人物の名前だけ変えて内容丸パクリはダメだよ春水ちゃん!


(おしまい)

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最終更新:2016年12月31日 21:53