女心となんとやら


それは、大阪で行われたシングル発売記念イベント、通称「シリイベ」での出来事でした。

映像に残ることもない完全に内輪のイベントということもあり
毎回メンバーが羽目を外しがちで、最近は告白シーンなど萌えネタやカプネタを
多く取り入れているのが特徴なのですが、今回は特に「ヒドい」ものでした。

その日2回目のイベントのMCはあかねちんだったのですが、
あかねちんが最年少の特権を利用して(?)暴走を始めたのです。

大好きな「いしどぅーさん」を堪能するためにあゆみんとくどぅーを同じチームにし、
ご当地クイズを勝手にポイント制にして勝敗を操り、
強引にあゆみんとくどぅーのチームを負けにして、
罰ゲームとして2人に「告白エチュード」を演じさせるという傍若無人ぶり。

思わぬ展開に、ファンの皆さんは大歓声。
あゆみんもくどぅーも顔を真っ赤にしながら必死で萌える演技を披露し、
周りのメンバーはニヤニヤしながら演技指導……という名目のヤジを2人に飛ばします。
そして、MCメモで顔を隠しながら体をよじらせ一番の満喫した姿を見せていたのは、
もちろんあかねちんでした。


確かにあかねちんの開き直ったような暴走は面白いしイベント的には大正解でしょうが、
さすがにやりすぎじゃないかという気持ちも拭い去ることができません。

これはもしかして、人為的な介入がされているのでは??
となるとその犯人は……。

エチュード組にガンガンとヤジを入れながらチラリと横目で確認すると、
隣にいる尾形ちゃんも、楽しくて仕方がないという表情で
私と同じようにヤジりまくっています。

もしやこのシチュエーションは、尾形ちゃんの魔法によって作り出されたもの!?

可能性としては十分に考えられる状況ではあるのですが、
そうだと断言するには何かしっくりいかない、そんな気がしてなりません。

なんでしょう、この違和感は。

内心で首を傾げながら、何気なくあかねちんの様子を窺ってみると、
やはり普段とは違う「もしかして操られてる?」と疑えるような挙動にも感じられます。

いや、これって……もしかして??

しばらく目を細めてあかねちんのことを観察した上で、
ようやく私は真相にたどり着いたのです。

あまりに予想外の事態に眩暈を起こしそうになりながら、
私は半ば自棄となっていしどぅーの2人にヤジを飛ばしたのでした。



「お話って何ですか?」

イベント終了後、こっそりとあかねちんを呼びだした私は、
あくまでしらを切ろうとするあかねちんに厳しい声を向けます。

「そんなこと言って、呼びだした理由が何なのか、とっくにわかってますよね」

「えー!? 全然わかんないですよ」

わざとらしく否定する相手に、私は容赦なく真実を突き付けたのです。

「もうそういうのはいいですから。
私が話をしたいのはあかねちんじゃなくって、中の人となんです」

その瞬間でした。


 ノノ ガラッ ハヽ
 从 *‘.-|*・ 。.・)っ|‘)<中の人などいないなの!

  ノノハヽ ピシャッ
 从 *‘.-|‘) Σ


やっぱりそうだったのか……。
大きくため息をついた私は、呆れ顔であかねちん、
いやあかねちんの中の人に説教モードで語りかけました。

「再生前の大事な時期にいったい何をやってるんですか、道重さんは」

「いやねぇ、尾形やはるなんがカプネタを弄んでるのを見て、
なんか楽しそうだなって思っちゃってね。さゆみもちょっとやってみたいななんて。
再生準備で忙しい中、ちょうどいい気分転換にもなるしさ」

「いやいや、気分転換はわからなくもないですけど、
それは道重さんの役目じゃないでしょう。
それにあかねちんの身体を乗っ取って暴走するなんて、いくら何でもやりすぎですし」

私の追及に、道重さんは飄々と言い訳を返します。

「別に身体を乗っ取ってるわけじゃないんだけどね。
羽賀の欲望をちょっと解放させて、それを軽~くコントロールしながら
心の一部に間借りして一緒に楽しませてもらってただけで。
それに役目がどうこう言うのなら、はるなんも人のこと言えないでしょうが」

「えっ、それってどういうことですか?」

「はるなんの役目は尾形の外堀を埋めることなのに、
新メンバーの2人にちょっかいをかけて楽しんでたじゃないの。
それこそああいうのは、はるなんじゃなくて尾形の役目じゃないの?」


さすがは道重さんというべきか、なかなか痛いところをついてきました。

「それはまあ……。13期の2人があまりにカプとして魅力的だったから、
ついからかいたくなったというのはあるんですけど。
それ以上に、本来の役目だという尾形ちゃんじゃなくて、
私がちょっかいをかけてしまったのには、実は深い理由があるんです」

「深い理由って??」

私が代わりにカプネタを供給することとなった原因。
それは……。

「尾形ちゃんはこの頃、魔法を全く使ってないようなんです」

「へー、それってつまり……」

「周りのメンバーに魔法でちょっかいをかけてカプネタで楽しむってことを、
全然してないんですよ」

「ふーん、それは確かに一大事かもねぇ。
これまであれだけ魔法を使ってカプネタを満喫してきたのに、
それを一切放棄しているってことは……。
尾形の中で何か、大きな転換点を迎えてるのかもしれないね」

そしてあかねちんの中の人は、今後のことを想像してか、
ニヤリと意味ありげな笑みを浮かべたのでした。


(おしまい)


※参考


シリイベ2回目。ご当地クイズ。MCあかねちん。
『石どぅ』を同じチームにして、勝手にポイント制を導入し、
罰ゲームとして石どぅに告白エチュードをやらせて、独りご満悦。
そのあまりの傍若無人さは『羽賀朱音のお笑いウルトラクイズ』状態w


シリイベ2回目。ご当地クイズ。
MCあかねちんの独断で罰ゲームは『石どぅさん』。
「石田さんが工藤さんを体育館裏に呼び出して告白してもらいます」。
完全にやりたい放題のあかねちん


シリイベ2回目。MCあかねちんの独断で告白エチュードをやらされる石どぅ。
MCメモで顔を隠しながら、体をよじらせ、ご満悦のあかねちん。
さくらちゃん「これは何?あかねちんの趣味の時間?」


告白罰ゲーム中の野次馬は、
主にはるなんとはーちんが後ろで悶えてました。
あと野次もこの2人が主だった。

 

ねたみやっかみと甘いケーキ          最終章予告

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最終更新:2017年05月13日 21:47