「そろそろみんな本格的に煮詰まってきたようなの」
「そうですね。じゃあ私が最後のひと押しを……」
「大丈夫、その必要はないから。だって…………」
「だって?」
「もうとっくに、始まってる」
「…………。
もしかして道重さん、その『恋ならとっくに始まってる』のセリフを
ただ言いたかっただけってことはないですよね?」
「フフフ、別にそれだけが理由じゃないの」
「『それだけが』ってことは、それも理由の一つではあるってことじゃないですか」
「まあそれはともかくとして。
ここまで来たらもう背中を押すまでもないから、
最後のお膳立てだけきちんと整えてあげて、
後はクライマックスをじっくりと堪能させてもらうことにするの」
「そうですね。これまで色々手回ししてきた分、
存分に楽しませてもらいましょう」
「うん。この立ち位置はさゆみ達だけの特権だからね」
「はい」
「「ウフフフフフフフ…………」」
(おしまい)
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