本編35 『魔法使いえりぽん』

 

首都近郊の摩天楼の一角。
その中にあっては目立たない、大きくも小さくも無いマンションの前にさゆみは立っていた。

遥か昔にはこういう大都会に身を置いていたこともあったけれど
その頃の『都会』とは何もかも違う。

M13地区の表通りとも随分と違う。
往来が激しく賑やかで、道行く人の顔はどこか疲れていた。

さゆみは今一度建物を見上げ、それから近くのコンビニで買い揃えた手荷物を確認して
足を踏み入れた。

マンションの真ん中あたり、特に目印も無い部屋を
ぼんやりと記憶していた番号を頼りに探し当てる。

確証も持てないままインターフォンのベルを鳴らすと
程なく、くぐもった声が聞えてきた。

『どちらさま?』

「道重です」

さゆみの返事に、その声は楽しそうな色を帯びた。

『道重ちゃん?待ってて、今開けるよ』

部屋の中からガサゴソと音が聞え
それからガチャリとドアが開いた。

「こんにちは。
この間のお礼に」

さゆみがそういって手に持っていたコンビニの袋を掲げると
その人はニッと目を細め手招きした。


「いらっしゃい道重ちゃん。ほんと久しぶりだねぇ。
入って入って。ちょっと散らかってるけど」

招かれるまま、さゆみは部屋の中に足を踏み入れた。


さっぱりとした大きな部屋。
品のいい調度がバランスよく置いてある。
目を引くのは、壁一面を占拠する大画面テレビ。
そこから何やらゲーム機のコントローラーらしきものが伸びていて
画面ではCG映像らしきものが忙しなく動いている。

その部屋の中に魔力を感じるものは何一つなかった。
自分の家とは随分と違う。
センスも、魔法と、人との関わり方も。

この人がここに居ることをどれだけの人が知っているのだろう。
果たしてこの部屋が『三大魔道士』の一人、”金色の魔法使い”後藤真希の部屋だと分かる人がどれくらいいるか。

久々に会った真希は相変わらず美しい、雨のような人だった。


「そのへん適当に座っててよ。
ジュースいれてくるね」

「はい」

真希がキッチンに消える間、大画面を眺める。
そこに映っているのが何かのデモ画面なのか、現在も進行中のゲーム画面なのか
疎いさゆみには分からなかった。

ほどなく真希がお盆にオレンジジュースを二つ載せて戻ってきた。

「ありがとうございます。一応借りをチャラにしてもらう為に来たんですけどね」

あまり御馳走になるわけにはいかない。
自分が手土産に持ってきたものといえば、
さっきコンビニで買ったあたりめと貝ひもと燻製卵とピスタチオ。
夕飯でも御馳走されようものならば借りが余計に増えてしまう。
ジュースくらいはまあ、いいけれど。

さゆみがここへ来た理由が、借りを返すというのは殆ど建前だった。
自分がわざわざ真希を訪ねて来た理由に心当たりがある。
話したくなったのだ。
つんくと話し、戦ったことがどう関連しているのかはよく分からないけれど。

「わあ、美味しそう。わざわざ買って来てくれたの?ありがとう。
そんな気使わなくてもいいのに」

「こういうの確か好きでしたよね、後藤さん」

「うん。あれ、道重ちゃんってお酒飲んだっけ?」

「私はあんまり」

「あはっ。ごとーもあんまり。でもこういうのは好きなんだよねぇ」


何十年ぶりか、下手をすれば何百年ぶりだけれども
不思議と緊張もぎこちなさも無く会話が出来ていた。

自分は前に真希と会った時とは随分変わったという自覚がある。
だけどこの人は本当に、何も変わらない。
そこが魅力でもあり、敵わないと思える部分でもあった。

「突然押しかけてすみません。ゲーム中でした?」

「ん?いいのいいの。今仲間がレベル上げやってくれてるから。
それにしても面白いんだよこれ。もう嵌りっぱなしでさ。道重ちゃんもやってみない?」

「私はどうもゲーム苦手で」

「そっか」

長い人生の中で、こういうテレビゲームが登場したのもつい最近のことだ。
それがあっという間に進化して、こんな大迫力になっているのだから
そういう技術には魔道士だって舌を巻く。
そんな矢のように過ぎる流れに見事に乗っている真希も、さゆみからすれば凄すぎるというしかない。


「そうそう、協会から招待状、道重ちゃんとこにも来た?何か新会長の就任式?みたいなの。
会長さん変わるんだねぇ」

「来ました。やっぱり後藤さんのところにも毎回来てるんですね。
本当に『三大魔道士』が集まったらどうするつもりなんだか」

さゆみが苦笑する。
真希もクスクスと笑った。

「いっそ大集合しちゃう?つんくさんにも連絡してさ。
協会の人達びっくりするだろうね」

「面白そうですけど、ちょっと今アイツと顔を合わす気にはなれないですね」

さゆみの言葉に、また真希がクスリと笑う。
さゆみは折角だからとオレンジジュースに口を付けた。


「聞いたよ。つんくさんと大喧嘩したんだって?」

「誰から聞いたんですか」

さゆみが呆れた声を出す。
この部屋にいて、何で魔道士に関連する情報に詳しくなれるのか。
自分も分からないつんくの居場所も知っていたし。
どうせ問い詰めたって無駄なことは分かっているけれど。後藤真希という人はそういう人なんだと思うしかない。

「ネトゲ仲間に聞いたの。
いやーでもビックリしたよ。道重ちゃんとつんくさんの喧嘩なんてさ。
皆もビックリしてたよ」

真希の声は、言葉とは裏腹にあまりビックリしている様子でも無かった。
さゆみとつんくが戦ったことも、今さゆみが訪ねて来たことも
全部お見通しだったのかと思える程に、真希の様子は自然体で変わらない。

「いろいろあったんですよ」

「何があったの?」

「弟子の友達が誘拐されました」

「へぇ」

真希も一口ジュースを飲んだ。
細められた目が何を意味するのかさゆみには分からない。
やっぱり、一番何を考えているのか分からないのが真希だと思った。

「因子持ちだったんですよ。その子達。
アイツは因子持ちを魔道士にする研究をしてたらしくて、こともあろうに私の街から二人も誘拐していきました。
私が怒ってた理由はそれです。ま、ちゃんと二人は取り戻しましたけど」

「なるほどねぇ。そりゃ怒るのも無理ないわ。
でもつんくさんも凄いこと考えるね。『因子持ち』の魔道士かぁ」


真希もそこに食いつくだろうとは思っていた。
「不老長寿の魔法」が失われた今、三大魔道士に匹敵する魔道士が現れる可能性は殆ど無い。
だけど因子持ちの人間が魔道士になったとしたら、その力は自分達を遥かに上回るかもしれない。
三大魔道士だからこそ想像出来ること。

「後藤さんはどう思いますか?」

「本当に出来るなら、凄い面白そうだと思うけど。
でも、その子達は辛いかもしれないね」

「そうですよね」

「そんなに力があったって、何やればいいかわかんないもん」

さゆみは聖に、魔道士になることを断固反対すると告げた。
勿論失敗のリスクがある。
力を持て余す危険もある。
本当に様々な危険が、聖や香音の身に降りかかることになる。

だけどもしそれらを乗り越えられたとしても、やっぱり魔道士になるべきでは無いと思った。
理由は、『異物』になるからだ。
自分達三大魔道士と同じ、この世界の『異物』。

それまで人々の中で培われた営みや構造を、理を破壊することは出来ても創造することは出来ない、そんな異物。
一人で生きて行ける。
だけどそれならばもう、生も死も意味が無い。人でない何か。形ある厄災。
そういう存在に聖や香音もまたなってしまうのだとしたら、
それは幸せや不幸とは別の地平。

そんな存在が何を目指し何処へ向かうのか興味深くはあっても
聖や香音をそうさせてまで見たいとは思わない。


「『結果壊れる』のは仕方ないとしても、出来るだけ『壊し』たくは無いですから。私は」

「ふふふ。道重ちゃんも変わらないね」

真希が笑う。
変わらない、だろうか。
自分は確かに昔から『変化』することを酷く恐れていた。
いつしか『変化』することは仕方の無いことだと諦めるようにもなった。
今は自分に世の中を変化させるだけの力がある。
だからこそ、なるべくなら自分のせいで変化させることは無いように。
そんな風に生きるようになったのは、最後に真希にあった後だったか、前だったか。

「アイツと戦ってる間、ちょっと話したんですよ」

「つんくさんと?」

「はい。アイツも変わってませんでした。
積極的に世の中を混ぜ返して、変化を起こしてそれを観察して楽しむ…。
まあ私とどっちもどっちだとは思いますけどね」

「あはは。二人でバランス取れてるんだね」

「後藤さんは…どっちでも無いですよね」

「ごとーはつんくさんとか道重ちゃんみたいに器用じゃないからねぇ」

また異なことを言う。
だれよりも器用で何でもできる天才魔道士が。


「後藤も結構前につんくさんにあったんだよ。
道重ちゃん、知ってた?つんくさん結婚したんだよ」

「え?」

突然の言葉に、その意味がよく理解出来なかった。
あの怪物、三大魔道士が結婚。意味が分からない。


「想像もつかないんですけど…」

「ウチもビックリしたけどね。綺麗な奥さんで、子供さんもいて。
つんくさん照れちゃっててさ、でも幸せそうだったよ」

さゆみは何だか眩暈がして天井を見上げた。
あの化け物の妻となる人が何者なのか、それ以上に妻子を連れて照れているつんくが想像出来ない。
一体その人達は今どうしているのか。

「もう奥さんも子供さんもみんな亡くなっちゃったみたいだけどね」

「へー…」

「魔道士でも無い普通の奥さんだったしね。
子供たちも。
みんな幸せに長生きしたみたいだよ。
でもつんくさんよりは先に死んじゃった。こればっかりはしょうがないことなんだけどね」

想像もしていないことだった。
さゆみが長い間色々な人と小さく関わりながら生きていたように
つんくも長い時間の中で関わり合った人がいたということ。
当たり前の話なのだけれど。
彼は一人で岩のように研究を続けていたのだと、そう思い込んでいた。


「つんくさんが弟子を取り始めたのってね、その最後の息子さんが亡くなって暫くしてからなんだって。
てことは結構最近だよね。『因子持ち魔道士』の研究を始めたのもそれからじゃないかな」

「なんでそんなに詳しいんですか…」

「いろんなとこから噂も入って来るしね。つんくさんともたまーにだけど連絡取ってたのよ」

真希はまた目を細めて笑うと言葉を続けた。

「つんくさん、もしかしたら好奇心の他に『因子持ちの魔道士』に『使って貰いたい魔法』でもあったのかもね」

確かに因子持ちの魔道士は想像を絶する魔力を持ち得る可能性がある。
自分達三大魔道士ですら決して不可能なことを、成せてしまう可能性が無くは無い。
勿論想定されるというだけだけれど。

あるいは死者にもう一度会うことも――

さゆみは頭を振った。

想像だけでつんくの内心を忖度しても仕方ないことだし、別にだからといって自分が何か変わるということもない。
ただ真希のしてくれた話は、知らないよりは知れて良かったと思った。
世の中は単純じゃないし、人の数だけ想いがあるように、三大魔道士だろうと化け物だろうと
その人生とそれに付随する想いはあるのだ。

だから世の中は大きすぎて手に負えない、そして面白い。

「聞かなきゃよかったです」

さゆみが苦笑すると、真希も楽しそうに笑った。

「なんで?今度会った時つんくさんを揶揄う格好のネタになるよ」

何だかんだと、随分話していた。 
二人ともジュースを飲みほしていて、南向きの窓から入る日差しは伸びている。 
改めて真希と膝と突き合せて話していることが不思議だった。 

子供の頃。 
まだ不老長寿の魔法を得る前のさゆみにとって 
真希は手の届かない憧れであり伝説の魔法使いだったから。 
あれから過ぎた月日は、もう数え上げることもバカバカしい。 

そんな今、旧知の間柄としてジュースを飲み交わしているのだから、世界はやっぱり予測不可能で、面白い。 

少し会話が途切れた間、ふと頭に浮かんだことをさゆみは何げなく口に出した。 

「死にたくならないか?って言われたんです。この間アイツに。 
それで何か色々考えちゃって。後藤さんに会いたくなったのもそのせいだと思うんです」 

真希が優しく笑う。 

「後藤さんは、死にたくならないですか?」 

「うん。今のところはね」 

「どうして?」 

「ゲームが面白いから。 
これね、凄いんだよ。滅茶苦茶やり込み要素があって、しかもすぐに新バージョンが発売されるからさ 
もうどんだけ時間があってもやり足りないんだよ。だからコンビニがすぐ下にあってくれてほんと助かる」 

「さゆみが言えることじゃないですけど、不健康そう」 

「あはっ、そこは大丈夫。時々身体動かす為にジムに通ったりしてるんですよ、こーみえて」

希のシンプルな理由に、さゆみも思わず気が抜けて笑った。
だけど真希は表情を変えないまま続ける。

「ゲームもそうだけど、コンビニとかもさ、つい50年くらい前までこんなのが成り立つなんて思わなかったよね。
『いつでも必要なものが必要なだけ揃ってる空間』なんてさ。魔道士だったら、考え付いても無理って諦めるレベルだよね。
それを魔力も無い人達が、大勢で知恵を絞ってシステムを作って流通させて実践して、当たり前みたいにそこにあるんだからさ。
人って凄いなって思わない?魔道士も負けてられないけど、負けっぱなしだよね。これじゃ」

「私たち魔道士はすぐ魔法に頼っちゃいますもんね。
それで魔法でも出来ないことは『不可能』になっちゃう。見習って、反省しなきゃですよ」

「そうそう。
人間ってすごいなーって思ったらさ、なんか見てたいと思っちゃうよね。
普通の人も、勿論魔法使いもさ、きっともっともっと凄いから。
だからあんまり死にたいって思わないかな。最近はね」

真希の答えはシンプルだった。
人間が好き。
多分つんくもそうなんだろう。
人間が好きだから、人間として生きている。
自分も、そうなのだろうか。

「それで、『魔法を捨てて人の営みの中』で生きてるんですか」

「え?別に魔法捨てたりしてないよ?
普通に魔法使うこともあるし」

「ふふ。魔道士の間では後藤さんはそんな風に言われてるんですよ。
さゆみは、そんな極端な人じゃないと思ってましたけどね」

「あはは。みんな大袈裟だからね。ごとーは中途半端がモットーだから。
それに道重ちゃんも、『恐ろしい冷酷無比の大魔女』になっちゃうね」

「そんなのは随分昔の話ですよ」

笑い合う。
嘗て憧れた金色の魔法使いと。


「正直、つんくさんも変な人ですけど後藤さんが一番変ですね。
天才で無敵で英雄で、欲が無くてのんびり屋だけど義理堅くて。
そんな人が今でも生きててのほほんとゲームやってるなんて不思議すぎますよ。
さゆみ、後藤さんに憧れてたんです。勿論今でも。
でも滅茶苦茶嫉妬もしてて、同じ三大魔道士って呼ばれるようになってからは
比べられるのが嫌で、なんであんな何でも出来る人と同じように
自分も生き残っちゃったんだろうとか思ったんですよ。
後藤さんみたいなタイプって真っ先に死ぬと思ってたのに」

さゆみが茶化すように言うと、真希はお腹を抱えて大声で笑った。
ヒイヒイと笑いを引きずり、涙目でさゆみを見上げる。
その目がまたキュっと優しく細められた。

「道重ちゃんが憧れてくれてたのも知ってたし、嫉妬されてたのも知ってたよ」

「そうですよね」

「でもね。道重ちゃんも十分変だと思ってたよ。あ、いい意味でね」

さゆみは少し眉根を寄せて真希の顔を覗きこんだ。

「道重ちゃんも大概不思議だよ。
嫉妬したりとか悔しい想いとか、劣等感とか嫌な気持ちとかさ、そういうのって誰にでもあると思うけど
道重ちゃんって『ずっと持ち続けて』るよね?後藤に、今でも嫉妬してるよね?」

さゆみには何となく真希の言いたいことが分かった。
確かにその通り。自分は暗い感情を消すことが出来ないのだ。


「普通はそういう気持ちって何かに変化させるものだよ。
『絶対に抜かしてやる』って励みにしたり、
『自分は自分』って割り切ったり、『別のことで抜かせばいい』って切り替えたり。
スパっと別の世界に踏み出したりさ。
でも道重ちゃんって嫉妬なら嫉妬っていう気持ちのままずっと持ち続けてるよね。
他の事をどれだけ頑張っても成功しても、暗い感情を暗い感情のまま、それを自分の一部として直視してる。
目を逸らさずにその感情と一緒に生きてる。
それってさ、普通出来ることじゃないんだよ。ごとーでも無理。
ごとーなんか、敵わないと思ったらすぐ諦めちゃってサヨナラしちゃうからね」

こんなに、この人は自分のことを見ていたのだろうか。
さゆみはそんなことを考えていた。
まだお互い若いころ、確かに共に仲間の輪には加わっていたけれど
それでも立場には天と地ほど違いがあった。

「嫌な感情が消せない。暗い気持ちを変化させられない。
それって物凄くつらいことだと思ってたし、生きるのだって嫌になりそうなのに、
道重ちゃんは今でも生きてる。
全部の気持ちと嫌な記憶と、感情を引き連れてるのに。
ね、つんくさんの質問に何て答えた?道重ちゃんはどうして生きてるの?」

さゆみはふと思った。
自分が何故生きているのか、そのことを何度も自問していたけれど
結局答えは真希やつんくと同じなのだと。

「多分、嫌な想いよりもちょっとだけ、大切な思い出とか楽しい気持ちの方が多かったんですよ。
これからも、ちょっとだけ多いんじゃないかと思って。だから生きてるのかもしれません」

「あはは。やっぱ道重ちゃんが一番変だよ。
感情のさ、容量が底なしなんだよね。
全部受け入れちゃう。で、全部を『道重さゆみ』の一部にして、辛いくせに、それが自分だって腹を括っちゃうところ。
昔からね、そういう所はかっこいいなって思ってたんだよ。自分にとっては一番嫌な部分かもしれないけどね」

「結局、私たち三人、生きてる理由は同じなんですね」

「うん。シンプルに、底抜けに人間が好き。それだけなんだよ」


少しだけ気持ちが晴れた。
別にいいやと思える。
わざわざ生きる理由を探さなくても。
好きだから、で。

今まで出会って来た人達、勿論嫌いな人もいたけれど
さゆみの人生を彩った人達のことはみんな大好きだった。
悔しい想いや嫉妬や劣等感を抱えたままでも、それ以上に好きだった。
そして今、衣梨奈や里保、聖や香音、亜佑美、優樹、遥、春菜、そんな大好きな子達を見ていたいと
そう思うことが理由。それでいいんだと思えた。

「また話そうよ。
今度は弟子の子達とか、その『因子持ち』の子達にも会ってみたいな」

すっかり長居してしまったことを詫びた後の帰り際、真希はそんなことを言った。

「私も弟子達を後藤さんに合わせてみたくなりました。
もう一人の三大魔道士との邂逅は最悪でしたからね」

「あはっ。道重ちゃんいい顔してる。
その弟子の子達のお蔭でしょ?」

「本当に、普通の子達なんですけどね。
魔道士としてだって、昔の仲間に比べたら特別才能があるわけでもない。
でも不思議なんですよ。
あの子達なら世界一凄い魔法使いになれるって、そうとしか思えないんです」

「いい師匠バカっぷり。そういうの好きだよ。
つんくさんも弟子とってるっていうし、なんか羨ましくなってきちゃった」

「後藤さんの弟子…それも見てみたいですね。ふふ」

さゆみは真希の部屋を後にした。
時は夕刻に差し掛かったところ。
もう衣梨奈たちは学校から戻っているだろうか。

早く帰ろう。
自慢の弟子と、大好きな子供たちが待っている。

 

 

 

「なんか…ごめんね、香音ちゃん…」

「うんにゃ、いいけど」

里保と香音は並んで歩いていた。

高く晴れ渡った空。
千切れた雲が風の中で棚引く。
天使が舞い踊っているような秋空だった。

放課後、里保と香音は先生に用事を頼まれた。
たまたまそこにいたからというだけの理由。

衣梨奈や聖を待たせるのもなんだと先に帰らせて、
はやく先生の用事を済ませようとしていたのだが
里保が盛大に転んでプリント類をぶちまけてしまった。

そんなこんなで二人して大幅に時間を食っての下校となった。
下校途中にも里保は一度つまずいて転んだ。


「里保ちゃん、気抜けて無い?」

香音が穏やかな笑みを浮かべている。
呆れを通り越してしまったらしい。
里保はばつが悪そうに頭を掻いた。

「うう…。そうかも。ごめん」

足元に蟻の行列を見つけて二人が立ち止まる。
里保が大きく足を広げて、踏んずけてしまわないように行列を跨いだ。

また転ぶんじゃないかという香音の心配をよそに
里保はスタッと行列の向こう岸の降り立って
得意気に手を広げて見せた。
香音がクスリと笑う。

香音が普通に行列を跨ぐと
二人また肩を並べて歩き出した。


「どったの?」

「ん?」

「なんでそんな気が抜けてんの?」

「あー」

会話のキャッチボールはフワフワとしていて
香音は、話しているうちにどんどん自分の気も抜けていることに気付いた。
だけどそれもいい。

「ウチさ、魔道士なんだよ」

「うん」

「執行魔道士なんよ」

「そだね」

「でさ、こないだ道重さんたちの『本気』の魔法見てさ、
なんか、またよく分かんなくなっちゃって」

「ごめん全然分かんない」

香音の言葉に、里保が「ひひひ」と笑った。


「道重さんもつんくさんも凄すぎてさ、ヤバイなって思ったんだけどね。
なんだかんだでウチら道重さんと一緒につんくさんと戦ったのさ」

「そうだね」

「今のウチなんかじゃ比べ物にならないのは確かなんだけどね、
『絶対に無理』じゃないって思ったの。いつまでたっても超えられない、三大魔道士はそういう存在じゃないって。
そしたらさ、また何を目指して魔法を研究したらいいのかよく分かんなくなった。
道重さんの背中をずっと追いかけてたら、道重さんを守れるような魔道士になれないんじゃないかって」

「はぁ」

香音が盛大に息を吐いた。
里保の言葉の意味を、魔道士でない自分がどれくらい理解出来たのかはあやしい。
だけど、里保の気が抜けている理由は何となく分かった。

「そんな果てしなく高いことばっか考えてるから転ぶんだよ」

「あはは。流石香音ちゃん。まさにその通りなんですよ」


蜂が2匹、二人の目の前に飛んできたので立ち止まる。
仲良く二人の周りを飛び回った2匹の蜂は、何のことも無くどこかに飛び去った。
また歩き出す。

「まあでも、よく転ぶ里保ちゃんは好きだけどね」

里保はまた小さく笑った。


ふと前を見ると、見覚えのある背中が3つ。
亜佑美と優樹と遥。
その先で尻尾を振っている黒猫が一匹。

同じ方向に帰宅するはずなのに、三人と一匹の進路は帰路とは少しずれている。

「どこいくんだろ?」

里保が早歩きになって追いかける。
香音もそれに続いた。
早歩きなんかして、また里保が頃ぶんじゃないかと心配したけれど
転ばなかった。

 

 


里保と香音に「先に帰ってて」と言われた衣梨奈と聖は
二人での下校をのんびりと楽しんでいた。

いつも4人一緒。
里保が来る前も、3人で一緒だったから
二人きりなんていつ以来だか本当に思い出せない。

衣梨奈と香音、聖と香音の二人で帰ったことならば何回かあるけれど。


二人の足取りはいつもよりゆっくりだった。
のんびり歩いていればそのうち里保と香音が追いついてくるかもしれない。
それに珍しい二人での下校を、少しだけ長く楽しみたいという思いが
どちらにもあるらしかった。

並木の下を通ると、足元でカサカサと音がする。
落ち葉を踏んで歩いていることに、秋の入り口を改めて感じた。

衣梨奈は自分の足音のリズムが随分とゆっくりだなと感じていた。
普段はもっとスタスタと歩いていく方だから。

今は隣を歩く聖の足音がとてもゆっくりで、楽しそう。
だからゆっくり歩く自分も何だか楽しかった。

「涼しくなったね」

聖が言う。
前を向いて微笑みながら独り言のように。

「あっという間やね」

衣梨奈も口元に笑みを浮かべながら独り言のように呟いた。

衣梨奈がこの街に来てから4度目の秋が来る。
濃密で、矢のように過ぎていく時間は
秋の入り口で一度スローダウンする。毎年そんな風に感じていた。

聖や香音と知り合って、さゆみの弟子になって丸三年。


「丘の方行ってみない?」

半歩先を歩いていた聖がふいに振り返って言った。
穏やかで楽しそうな、大人びた顔に少し見惚れて、それから衣梨奈は笑って肯いた。


坂の先に緑地がある。
展望台になっていて、衣梨奈たちが住む街と海が一望出来る。
衣梨奈のお気に入りの場所。
里保も香音も、たぶんさゆみも。
この街で生まれ育った聖にとってもきっとそうだろう。
だから二人の足は自然と、展望台を目指していた。

「聖ね」

秋の匂いに想いを馳せていた衣梨奈は、聖の柔らかい声に少しだけ顔を上げた。
子守歌のように優しい声。
だけど続く言葉は衣梨奈を驚かせた。

「パパとママに話したの」

「え?何を?」

「全部。今回のことと、全部」


衣梨奈は思わず立ち止まり聖の顔を凝視した。
聖も立ち止まる。その顔には変わらない笑みが浮かんでいた。


「全部って…?」

「魔法のこと。因子のこと。
道重さんやえりぽんたち、それに香音ちゃんに死ぬほど迷惑かけちゃったこと。
聖が、魔法に憧れてて、えりぽんや里保ちゃんが羨ましくて、嫉妬してたこと」

「みずき…」

「聖のせいで、みんな死んじゃうかもしれなかった。
聖がバカで、何にも考えて無いせいで」

聖は笑みを浮かべたまま柔らかく言葉を紡いだ。
酷く自分を責めているというよりは、それが事実だと、一つ一つ確認するように。
衣梨奈はそんな聖の様子に戸惑っていた。

「久しぶりに、滅茶苦茶叱られるって思ったんだけどね、叱られなかったんだ。
かわりにパパもママも泣いて、本当に久しぶりに聖のことずっと抱きしめてくれて。
ああ、ホント聖ってバカだなって、思った」

「そんなことなかよ」

衣梨奈の呟きに、聖は「ふふ」と笑ってまた歩きだした。
そんな聖の半歩後ろを着いていく。

衣梨奈が誰かの後ろを歩くなんて、本当に珍しい。
聖が凄く大きく見えた。大人に見えた。

衣梨奈と里保は、ついに今回のことを父に話せなかった。
三大魔道士の衝突の余波は、多分世界中で観測されただろう。
当然協会もすぐ察知し、厳戒態勢を敷いていた。

一夜明け、局長が里保に事態の確認を行うその前に、さゆみが先手を打った。
自分と西の大魔道士の間で小競り合いがあったが、衣梨奈や里保は関わっていないとさゆみは嘘をついた。
衣梨奈も里保もその嘘に乗じた。
さゆみがどういう意図で嘘を吐いたのかは分からない。
だけど衣梨奈には父に事実を話すことは出来そうになかった。
衣梨奈や里保の身を案じてくれている両親がどう思うか。
絶対に自分達のとった行動は正しかったと胸を張って言えるだろうか。
生きて帰れなかったかもしれないのに。

さゆみが電話を掛け終えた後
「ま、お父さんは察してるかもしれないけどね」と言った。

衣梨奈も里保も、まだどうしても真実を告げる勇気が持てなかったのだ。


聖と衣梨奈の足が再び止まる。

衣梨奈の眼前には、夕日に黄金色に染め上げられた街と
宝石の平原のように輝く海があった。


展望台のベンチに二人腰かける。

「なんか急に聖が大人になりようけん、置いてかれた気分」

衣梨奈が言うと、聖がクスリと笑って顔を伏せた。


「そんなことないと思うけど」

「そんなことあるよ。何があったんってくらい」

「何がって…
あるよ。あったじゃん。
聖のせいで、道重さんが、えりぽんが、里保ちゃんが
亜佑美ちゃんと優樹ちゃんとどぅーとはるなんが、死んじゃうところだった。
香音ちゃんも、さくらちゃんも、つんくさんも、みんな…」


今度は笑っていなかった。
辛そうに、聖が肩を震わせる。
それも多分自分を責めているわけじゃない。
ただ、思い出してしまったんだ。
みんなを失う恐怖を。

衣梨奈がそっと聖の手を握る。
不安気に顔を上げた聖に、精一杯の笑顔を向けた。

「えりはここにおるけんね。
道重さんも里保もみんなも、さくらちゃんもみんなおるけん」

衣梨奈の瞳の中で戸惑いに揺れていた聖の顔が
少しずつ和らぐ。

「そうだよね。良かった…」


不意に海風が吹き上げ
髪が乱れてどちらからともなく繋がれた手が外された。

「あのね、聖さっきパパとママに全部話したって言ったじゃん」

「うん」

「でもね、やっぱり全部じゃなかった」

「うん?」

「どうして魔法使いになりたいって思ったのか。
どうしてえりぽんや里保ちゃんに嫉妬してたのか。
何に憧れてたのか。
本当に聖が欲しがってたものは何だったのか」

風の間から聖のしなやかな声が届く。
衣梨奈はそれを音楽のように聴いていた。

「あのね、えりぽん」

「うん」

「聖ね、その、えりぽんの――」

「待って」

衣梨奈は聖の心地よい声の続きを聞きたかった。
だけど敢えて制止した。
多分これから紡がれる言葉は聖にとって大切な心。

だから、背後の繁みの中から聞こえる無粋なヒソヒソ声があまりにも場違いだ。


――うひょーキタキタキタァ

――ちょっはるなん暴れないでよ!

――まさお腹すいた

――まーちゃん今いいとこだからちょっと我慢してて!

――え、なに?てかウチらなんで隠れてんの?普通にえりぽんとフクちゃんとこに

――ダメー!鞘師さんそれはKYすぎますって!

――ダメだこの魔道士たち…


なぜばれないと思ったのだろう。
確かに聖は気付いていないけれど。
いくら鈍感と言われる衣梨奈だって魔道士だ。
そんなにゴソゴソと騒がれたら、そりゃあ気付く。

止められて、疑問符を浮かべる聖を見ながら衣梨奈は考える。
どうしたもんか。後ろの変な連中を。

だけどもう一つ別の気配が近付くのを感じ
苦笑を一つ。
どうやら聖の話の続きを聞くのはまたになりそうだ。
学校ででもどこでも、いくらでも話す時間はある。
聖の想いも、香音の気持ちも少しでも知りたいし、きっとこれからまだまだ機会はあるだろう。
大切な大切な、親友同士だから。


「生田さん!譜久村さん!」

丘の上に響いた声に
衣梨奈が笑って、聖が驚いて振り返る。

「凄い!偶然ですね!
私も夕焼けの街を見てみたくて来たんですよ!
あ、コレですか?さっきそこでたこ焼き売ってて、美味しそうだからつい買っちゃいました。
一緒に食べませんか?」


可愛らしい、楽し気な声を弾ませるさくらに
聖の顔にも笑みが浮かんだ次の瞬間、背後の繁みが盛大に揺れ
無残に折り重なった人影から放たれた絶叫が空に木霊した。

「小田ぁあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

衣梨奈に冷めた目で睥睨された6人の出歯亀たちが小さくなっているのを
聖が面白そうに、さくらが不思議そうに眺めたあと
静かな夕暮れ時は賑やかな夜更け前に一変した。

なんだかんだと皆で騒ぐのは楽しく、笑い声が丘の上に響く。
さくらが買ってきたたこ焼きをみんなでつまんで一はしゃぎ。

「なに、小田は一人でたこ焼き10コも食べる気だったの?」

亜佑美の詰るような口調にさくらは動じない。

「そうですよ?」

「夕食前なのに」

「ぜんぜん余裕です。私幾らでも食べられるんで」

「太るよ」

「運動します」

実際には突如メンバーが9人になったので、一人一個、一つ余り。


「残りの一個、どうします?道重さんに持って帰ります?」

春菜の問いに遥が眉を顰める。

「流石に一個だけたこ焼き持って帰ってきたら道重さん怒りません?」

「でもまーたちだけたこ焼き食べたって知ったら怒りそう」

「誰かが歯に青のりつけてて見つかる未来が見える…」

香音の言葉に皆の視線が一斉に里保を向く。

「な、なんでウチを見るの…。てか小田ちゃん青のりついてるよ」

「ホントだ!二つ!」

「え?ほんとですか?」

「小田ぁ」

あーでもないこーでもないと言い合っていると
神妙な顔をして考え込んでいた衣梨奈が声を上げた。

「分かった。これはえりが食べる」

「え…生田さん大丈夫すか…」

「大丈夫。里保、うちにたこ焼きプレートあったよね?」

「道重さんの?
そういやあった気がする。まさか、えりぽん」

「今日は、急遽タコパ―開催する!
聖と香音ちゃんも参加ね!勿論はるなんも!
道重さんにも、いっぱい食べてもらえば嫌味も言われんやろ!」

「やったー!タコパ―!」

「是非参加させていただきます!」

「はーい、聖も参加しまーす」

「何このノリ…」

「香音ちゃんは?」

「もちろん参加させていただきますとも」


秋の風吹く丘の上で始まったたこ焼きパーティー計画は
ついさっきまで随分と大人びていた子供たちを
幼子のようにはしゃがせた。
夕闇迫る丘を9人で駆け下り、スーパーに寄って買い物をして
道重邸につくと
今しがた『金色の魔法使い』のところから戻ったさゆみと出くわした。

タコパ―計画を伝えるとさゆみも大はしゃぎの輪に加わって
10人で楽しくたこ焼き作り。

これでもかというほど、たこ焼きを食べて笑ってはしゃいでまた食べて。

もう当分たこ焼きなんて見たく無いと皆が思い始めた頃
さゆみが衣梨奈に言った。

「生田、たこ焼きパーティーとは珍しくナイス提案だったじゃない」

急に聞えたさゆみの声が優しくて
衣梨奈は不思議そうに顔を向けた。
三々五々お喋りをしていた他の子供たちも、何となくさゆみと衣梨奈の方に視線を向けている。


「どうしたんですか急に」

「大分家事も上達したし、今までまあよく我慢したよね」

「我慢?」

さゆみが穏やかに笑う。
その笑みに何となく衣梨奈の背筋が伸びた。
里保も春菜も、亜佑美も遥も、聖も香音もさくらも居住まいを正す。

「明日から教えてあげるよ。魔法」

「え?ええ?え?」

「嫌なの?」

衣梨奈がブルンブルンと首を振る。

「ま、さゆみが直接教えたら、あんたの目指す『世界一の魔法使い』には遠回りになるかもしれないけどね」

衣梨奈真っ直ぐにさゆみを見つめた。

「それが道重さんもした遠回りなら、是非えりもしたいです」

「ふふ、そう」

さゆみがそっと衣梨奈の頬を撫でる。
それから視線を移した。


「りほりほも」

「え?」

「勿論嫌なら無理にとは言わないけどね」

里保も思い切り首を振る。
衣梨奈と里保の妙なシンクロにさゆみがクスクスと笑った。

「弟子にはしないけど、でもいいよね?」

「はい。どのみち道重さんから盗むつもりでしたから」

さゆみが里保の頬も優しく撫でる。
里保はくすぐったそうに目を閉じて笑った。


さゆみが部屋を見回す。

「はるなん、佐藤と工藤、石田、小田ちゃん。みんな教えてあげるよ。
私の魔法。私の研究。知りたいだけ、学びたいだけね。
役に立つ保証は無いけど」

子供たちはそれぞれに、戸惑いと期待とを双眸に浮かべた。
『大魔女』から直接教えを受けることが出来る。
そんなことを、共に暮らしていても想像していた者はいなかった。

「ふくちゃんと香音ちゃんも、教えてあげる」

「私たちも、ですか…?」

「うん。魔法のこと、知識、それから経験、
二人が知りたいことがあれば教えてあげる。
ま、さゆみも知らないことの方がずっと多いけどね」

「ウチらも、いいんですか…?」

「うん。
ま、さゆみは先生なんてガラじゃないから
教え方も下手だろうし、別に大したこと教えられないかもしれないけどね。
だけど少なくとも今の皆よりは色んなこと知ってるし、色々出来るから。
教えた魔法や知識、どう使うのかはみんなの心で決めてね」

「心で…?」


「これからみんな大人になってくんだよ。
どういう心で大人になるのか、さゆみはそれが楽しみなの」

「あの、私もですか?」

さくらがおずおずと声を上げる。
さゆみは満面の笑みで答えた。

「もちろん小田ちゃんも。
みんななら、きっと大丈夫
そう思えたから、教えてあげることにしたの。
これからきっとさみんな、ゆみも知らない景色を見るんだから
さ、たこ焼き片付けよっか」


子供たちは大魔女の言葉を深く胸に畳み込んだ。
秋の宵。たこ焼きパーティーの夜。
大魔女と9人の子供たちは約束を交わし、一つ先の未来へと歩を踏み出した。


M13地区に星が巡る。
魔法使いえりぽんと少女たちの物語は今宵もまた
紡がれてゆく。

2017/07/19(水) 
『魔法使いえりぽん』終わり

 

本編34

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年02月03日 21:44