決勝の相手は……執行魔道士の鞘師里保さん。
噂に違わぬその実力は、戦ってみてすぐに思い知らされた。
私の得意とする吹雪の魔法は、風の魔法に遮られて鞘師さんには届かない。
他の攻撃も尽く軽くいなされて、消耗するのは私ばかり。
でも、さっきから鞘師さんはずっと受身なままで、これって一体!?
「2人の実力差、もう十分にわかってくれたよね。
これ以上戦っても意味ないから、このまま負けを認めてくれないかな。
うちは、亜佑美ちゃんを傷つけたくないんだ」
やっぱりそういうことなんだ……。
確かに実力差は嫌というほどわかっている。
でも鞘師さんを本気にさせることもできずに敗退なんて、私のプライドが許さない。
こうなったら捨て身の勝負を挑むしかない!
「まだまだこれからですよ鞘師さん。私の本当の実力、しっかりと味わってください!」
「高速変なおじさん」で幻惑!
「高速ステップ」そして「高速振り向き」で鞘師さんの死角に入る!!
「高速タックル」で一気に鞘師さんに抱きつく!!!
「魔法はともかく、身体能力だけなら鞘師さんにも負けない自信はあるんですよ私も」
ほんの20センチほど先にある鞘師さんの顔は、可愛らしい子供そのもの。
でも、こんな状況になっても顔色一つ変えないのがなんとも悔しい。
「この距離なら風の魔法による防御も効きませんよね。
どうですか、足元が冷たくなってきたでしょ?
これは私の渾身の氷の魔法。このまま足元から凍りついていき、
最後には氷像となってしまうんですよ。
だから、そうなる前にギブアップしてください鞘師さん!」
もちろん抱きついた状態でのこの魔法は、私の身にも相応のダメージは避けられない。
でも、ここまでしなければ鞘師さんに勝つことなんて出来やしない!
私の顔をジッと見つめる鞘師さん。そして、その表情がついに変わった!!
「亜佑美ちゃんの唇って、厚みがあってとっても綺麗だね。
その唇のぽってり感、そして顔に対するぽってり感のバランス、まさに完璧だよ」
へっ? こんな状況で何を言ってるんですか鞘師さん!?
「ねぇ、亜佑美ちゃん。ほんのちょっとでいいから、チューしていいかな。
大丈夫、うちの唇薄いから」
何が大丈夫なのか全然わかりませんよ!
というか逃げたくても鞘師さんに抱き締められてて身動きがとれないし!!
「亜佑美ちゃん、うちさぁ……本気だから」
いやー! こんな方向で鞘師さんを本気にさせるつもりはなかったのに!!
もう私の負けでいいから早く離してー!!!!
○
ノハ*゚ ゥ ゚)<というのが私の集めた2人の戦いについての情報です
ノノ∮* ‘ _l‘)<いやだ~そんなハレンチな~(喜)
从*・ 。.・)<りほりほもそんな積極的だったなんて見直したの(スー)
ハ;o´ 。`ル(なんでみんな大ボラばっかり……。でもあゆみんだからいっか)
(おしまい)