(35)648 「半分エスパーの脚本(2)」



<冒頭>
深夜の繁華街。
マノエリナ、複数の警察官に追われて人混みの中を走っている。

警察官A「君、待ちなさい!」
警察官B「誰か、その子を止めてくれ!」

エリナ、息を切らして走りながら自分の掌を見つめ、背後の警察官をちらりと振り返る。
前方に向き直ったエリナ、ふるふると首を横に振る。
パトカーのサイレン音が聞こえてくる。
進行方向にもちらほらと警察官の姿が見え始め、進路を変更するエリナ。

場面転換。
気がつくとひと気のない路地裏、正面は行き止まり。
ハッとして引き返そうとするが、行く手を阻むように警察官たちが立ちふさがる。

警察官A「やっと追い詰めた。君がなにをしたのかは知らないが、上の命令だ。
     そもそも学生が出歩いて良い時間ではないし、とにかく一緒に来てもらおう」

警察官、エリナに手を伸ばす。
咄嗟に距離を取り、掌を向けようとするエリナ。
だがそこで、脳裏を研究所を破壊した時の光景がよぎり、
上げかけた掌をぎゅっと握って悔しそうに目をつむり肩を下ろす。

警察官B「なんだ君、うわ!?」
警察官A「ん? 一体どうし――」

ドサドサと人が倒れるSE。
背後の警官たちの悲鳴で怪訝そうに振り返った警察官Aの顔が愕然と凍る。
倒れた警官たちの中心に、一人の小柄な女性が立っている。



高橋「あちこちのパトカーといい、学生の補導にしてはおおげさやね?
   ま、おおかた『こくえけん』の差し金だろうけど」
警察官A「な、何者だ君は。これは公務執行妨害だぞ。
     それに君だって、学生の出歩いて良い時間では――」

さっきまで数メートル離れた位置に立っていた女性の姿が消えている。
直後、警察官Aの身体がくず折れる。
倒れた警官の身体の陰から、腰を落とし拳を突き出した姿勢の女性が現れる。

高橋「あーしはこれでも今年23やよ。で、想像はつくけど、アンタはなんで追われてるん?」

女性の眼光にたじろぐエリナ。

エリナ「あ、貴女いま『こくえけん』って……、じゃあひょっとして貴女も……?」
高橋「うん。あそこ出身の超能力者やよ」
エリナ「けどそれじゃ、なんで助けて……?」
高橋「そりゃあ――っと、また追手や。聞きたいことあるし、とりあえず移動するで」
エリナ「え、あの、一体――」

無造作にエリナの手を掴む女性。
路地から警官たちの足音と声が聞こえてくる。

警察官C「確かにこっちから声が……って、なんだこれは!?」

倒れ伏す警官たちを見て驚愕の声を上げる警察官C。
他の警官たちも一緒になって仲間の息があるのを確認する。

警察官C「それにしても……いったい誰がこんなことを?」

見回すとそこはビル壁に囲まれた一種の密室と化した空間。
そこにエリナと女性の姿は影も形も残っていなかった。



その後のあらすじ的な何か。

エリナは高橋の瞬間移動で『喫茶リゾナント』に連れて行かれる。
そこで自分が能力をまだ上手くコントロールできない理由を話し、
同時にこの喫茶店にいる面々が全員『こくえけん』を脱走した超能力者だと聞かされる。
彼女たちは社会のためといいつつ政治家のための汚れ仕事をさせられたりするという現実を前に、
それぞれに行方を暗まし今はこの喫茶店を拠点に"本当の意味での人助け"をしているという。
エリナは彼女たちに共感し、協力して身近で起こる事件を解決すると共に成長し、
最後は『こくえけん』の暗部と対峙していくこととなる――。



最終更新:2014年01月18日 11:57