(36)339 『唯、黎明を待つ』



 奈 ●  麗 ●  中 ○  田 ○

 落 ●  娘 ○  情 ○  野 ●

 密 ●  孤 ○  願 ●  馨 ○

 嘉 ○  歩 ●  響 ●  懐 ○

 招 ◎  闇 ●  霄 ◎  昔 ●


<詩題> 唯待黎明


<韻目> 「蕭」韻


<中国語読み>

tian(2) ye(3) xing(1) hua(2) xi(2)

zhong(1) qing(2) yuan(4) xiang(3) xiao(1)

li(4) niang(2) gu(1) bu(4) an(4)

nai(4) luo(4) mi(4) jia(1) zhao(1)  

※( )内数字は現代中国語の四声です



<書き下し>

田野の馨 昔を懐かしませ

中情の願 霄(そら)に響く

麗娘(れいじょう) 孤り闇を歩き

奈落(ならく) 密かに嘉招(かしょう)す


<直訳>

田舎の薫りは昔を懐かしませ、

心の底の願いは空に響いている。

美しい少女は独りで闇の中を歩き、

地獄が密やかに招いている。


<意訳>

田舎の空気は遠く懐かしい過去の記憶を微かに刺激するような気がするが、この都会ではそれすらなく、ただただ孤独だ。

心の奥底にある切なる願いは、今日もコンクリートのビルに切り取られた漆黒の夜空に虚しく響くだけ。

田中れいなは、どこまで続くとも知れないその孤独の闇の中、進む先に光があると信じてひたすらに歩いていた。

果てる底なき闇が、丁重にそして親しげにそっと手招きしてくるのに心を揺らされ、惑わされそうになりながらも。


最終更新:2014年01月18日 12:19