(36)452 モーニング戦隊リゾナンターR 第8話 「嘆きの救世主」



第8話 「嘆きの救世主」

襲撃者「A」の攻撃を避けれず異世界に飛ばされた愛。
そこは―夕闇が迫り人気も疎らな遊園地。
古ぼけたメリーゴーランドの側に倒れていた愛は見知らぬ二人の女性に介抱されていた。
友人同士らしい二人は、メリーゴーランドの照明が当たりはっきりと映った愛の顔を見ると、足早に去っていく。
置き去りにされた愛は浮かない顔。園内の洗面所で鏡に自分の顔を映し、「そんなに怖い顔なんかなあ」と呟く。
「すいません」と消え入りそうな声が…鏡には黒い髪の女性、先刻の二人組の内の一人だった。

道重さゆみという名のその年上の女性は「傷の手当てをさせて欲しい」と申し出る。
「大した怪我ではないから」と断った愛だが、道重の真剣な様子に押されて申し出を受けた。
愛の手を握ったまま、祈るような眼差しで見つめるばかりの道重に戸惑う愛。
「ごめんなさい」と謝った道重は持っていたハンカチで滲んでいた血を拭いだした。

何とかこの世界の情報を得ようとする愛だったが、会話は噛み合わない。 しょうがなく道重と一緒だった女性について尋ねる。
硬かった道重の様子が変わり、嬉しそうに話し出す。


その女性―亀井絵里とは子供の頃からの友人だということ。
絵里は重い心臓病に悩まされていたが、現在では快方に向かっている。
この遊園地は知り合った頃からずっと来ていた思い出の場所だが、ここ数年は来ていなかった。
来れなかった理由は二人の夢だったケーキ屋を開くために、離れた土地へ移ったからだということ。
「今日は何で来たの?」という愛の疑問に対して、近日中に閉鎖されるこの遊園地の光景を心に焼き付けておきたかったと答える道重。

飲食店の立ち並ぶエリア。 亀井絵里が所在なげにベンチに座っている。 膝の上には小さな鳥。 どこか怪我をしているのかグッタリしている。
そんな絵里を見つめる二つの影―1人は吉澤ひとみ、もう1人は研究者用の白衣を着けた女、その顔には分厚いレンズの眼鏡が…

愛が改めて自分の名を告げて聞き覚えはないかと尋ねると、道重の表情は再び硬くなり走り去る。 その後を追う愛。
苦も無く道重に追いついた愛は何か知っていたら教えて欲しいと懇願する。 
頑なに拒んでいた道重だったがやがてその口から事実が告げられる。

かつて自分と絵里はリゾナンターという集団に所属して悪と戦っていた。
敵の正体とその目的が明らかになった時、長い戦いに終止符を打つために敵の本拠に乗込むことになった。
だがその直前で自分と絵里は仲間の手によって記憶を改竄され置いていかれた。
何故か自分だけが記憶を取り戻した時、まだ最後の戦いは始まっていなかった。
治癒能力を持った自分が駆けつければ、どれだけ仲間の役に立っただろう、でも自分は行かなかった、行けなかった。
それは絵里が居たから、そう心臓病を患っている絵里を残して行くことなどとても出来なかったから、でも…
「それは言い訳。 私は怖かった、最後の戦いに臨むのがとても怖かった、だから絵里の病気を口実にして残ることにした。
 そうあれは10年前、あの日あの時、私は友を、仲間を見捨てた」

「トレビアーン。 記憶を改竄され傷の共有を封印されてきた女。 そのお陰で健康状態も申し分ないようだし、実験にも耐えれるでしょう。
 傷の共有が発動できれば…の話ですが」
「そいつは任せてもらおう。 無味乾燥な実験室でなくあいつらの思い出の場所、ここであいつを極限状態に追い込む。
 それにプラスしてあいつにとっちゃ相棒と同じくらい大切だった人間と同じ顔をしたやつがお出ましとくれば必ずあいつの記憶もチカラも戻るだろうよ」



「私は仲間を見捨てた。 こんな小さなお守りを言い訳にして」 道重の手には小さなシールが。 「それは?」という愛の問い掛けに…
「これは私の治癒の力を込めた護符のようなもの。 1回限りなら遠隔治癒の力が発動する、でもたった1回、それっぽっちで…
 …いっそのことあの人と会わなければ良かった。 会わなければこんなに苦しむことも…絵里と二人だけで 」
道重の頬が乾いた音を立てた。 持っていたシールを愛に投げつけ走り去る道重、愛はどうすることも出来ず立ち尽くす。

退園時間が間近なことを知らせるアナウンス。
ゲートの周辺には100人近い客。

「わざわざ閉鎖間近の遊園地にやって来て、ノスタルジーを堪能したい暇人の皆さん、皆さんに素敵なお楽しみを用意しました」
「それは…狩りの時間だ!!」

吉澤の指差した先には絵里が…
瞳の焦点を無くした来園客が、従業員が、手に得物を持ち絵里に迫る  ―次回へ―




【次回予告】

封印された「傷の共有」のチカラを復活させようとする吉澤の企みで傷つく絵里。
そんな絵里を治癒しようとするさゆみだったが…「治せないの、私には治すことが出来ない」
二人を助けようとする愛の前に立ちはだかる新たな敵…「i914のiの本当の意味はねえ」

モーニング戦隊リゾナンター R 第9話 「世界の破壊者」

「この人は自分の信念だけを武器に友を守り抜いてきた、誰よりも強い!!」

全てを癒して、世界を救え!!



[Sayu-Eri](30)814 『過去との別れ/明日への誓い』
[Movies](35)094                 の世界にお邪魔しました


最終更新:2014年01月27日 18:22