(40)078 『ことよろリゾナント』



"甘酒 100円
 あたたかい店内で あたたかい飲み物を召し上がって お休みください。
 ※ただいまの時間はフードメニューの提供はしておりません。"

「う~~~っ、さっむ~~~~~~っ!!」
まだ交代の時間にならんとかいな…。

愛ちゃんがそれを言い出しよったんは、ほんの何日か前の事やったと。
「年越しはリゾナントを営業して、甘酒も売るやよ!」
リゾナントの近くにはけっこう大きなお寺があって、毎年初詣には人出が多くなる。去年はみんな集まって年越しパーティーしよって、朝になってからみんなで初詣に行ったっちゃけど…。
この時期、絵里の誕生日にクリスマスと、イベントが目白押しで去年はその調子で年越しパーティーもやってたら…。正直、1月の遣り繰りがヤバかったと。
んで、去年はガキさんと絵里の成人祝いもやったし、今年はれなとさゆの成人祝いも控えよる。それに、小春の送別会もやった。
同じ調子でやってたら、去年以上にヤバくなると…。愛ちゃんはそのことを考えた上で、発案したんやろうけど…。

ゴ~ン

あ、除夜の鐘 始まったと…。
「あったかい甘酒、いかがですか~!?どうぞ、店内でお休みになってあったまってくださ~い!!」


愛ちゃんが年越しの事をみんなに言ったら、絵里とさゆは
「実は、ディズニーランドに…」
ジュンジュンとリンリンも
「カウントダウンライブに…」

ふん、薄情もの。
ガキさんと愛佳は手伝ってくれよるけど、外で売り子やる順番をジャンケンで決めたら、見事にれなが負けた。
11時から3時まで営業することになって、一時間ごと交代。みんなこれからお寺に行くところっちゃん、帰り道ならともかく行く時に寄ってくれよる人はあまりおらん。お寺の前には出店も出よるし。

カランコローン
「れーな、もうすぐカウントダウンやよ!入って入って!!」
愛ちゃんの言葉に、れなは光速で店内に飛び込む。


テレビに合わせて、何人かのお客さんと一緒にカウントダウン。
「…5、4、3、2、1、ハッピーニューイヤー!!!!」
パンパンパーン!!!!
みんなでクラッカーを鳴らして、れな達は甘酒で乾杯。

「それでは、新年を迎えた喜びの言葉をインタビューしてみましょう」
テレビでレポーターの人がそう言った時やったと。
「イエ~イ!!みんな見てる~?ウヘヘヘ」
聞き覚えのある声がして思わず画面を見たら、甘酒吹いた。

「みんな~!あけましておめでと~!!今年もみんなで一緒に頑張ろーねー!!」
「こっちが終わったらすぐリゾナント行くよ~。待っててね~ウヘヘヘ」

…4人で顔を見合せて、笑い合ったその時、店の電話が鳴った。
「はい、喫茶リゾナントです。おおお~!ちょっと待っとってな。ハイ、ええよ。」
愛ちゃんがスピーカーのボタンを押すと、元気な声が溢れてきた。

「みなサーン!あけマシテおめでとうございマース!みなサンのおかげでライブ楽しいデース!!ハ ハ ハ」
「終わったらすぐ行きマスだヨ。ごはんとバナナイッパイ残しておいて大丈夫だからナ!」

なん言うとや~!?早く来んと許さんけんね!とか言ったっちゃけど

みんな来てくれることが嬉しい。
みんなで一緒にいられることが嬉しい。
みんながリゾナントを大好きでいてくれることが嬉しい。


あっ、次は愛佳の番っちゃよ。風邪ひいたらいかんけんね、れなの手袋と耳当て貸してあげるとよ。

…今年もみんなが一緒に元気でいられますように。
あと!小春、時々は顔見せんと承知せんけんね!!



最終更新:2014年01月18日 15:10