(41)084 モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「ダクネチュ様の世界」



モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「ダクネチュ様の世界」

パラレルワールドを破壊して世界を救う使命を背負い旅を続けるモーニング戦隊リゾナンターの高橋愛。
今彼女は怪しげな建物の中にいた、まるで特撮ドラマに出てくる悪の組織の秘密基地のような。
寒々とした管制室のスクリーンの前に黒覆面の男一人佇んでいる。

「あんたは誰?」 
「わしの名はダークネス、闇の王と呼ばれた男」
「闇の王さんが何で一人っきりでおる」
「…皆は、他の皆は行ってしまった。 ダークネスのメンバーもリゾナンター達も」

自分達の住む世界の消滅を防ぐために、異なる世界の能力者と戦うサイキックウォーズを戦う為に。
サイキックウォーズという言葉に聞き覚えのある愛。

「それってもう起こった出来事なんじゃ?」
「お前は幾つもの世界を旅してきたのだな。 その内の一つでサイキックウォーズは起こったというのか」

…だがそれは小さなコップの中で起きた嵐に過ぎない。
今度起こるであろうサイキックウォーズは、全ての世界がその生き残りを賭けてぶつかり合う。
敗れた世界は消え去るのみ。

「わしは止めたのだ。 全ての世界には命が息づいていて、全てのモノに価値がある。 
たとえ自分達の世界を守るためといっても、それを破壊していいものなのか。 争い以外に解決策を見つけ出すべきではないか、だが…」

闇の王とは思えぬ言葉に耳を傾けていた愛だったが、只ならぬ気配を感じてダークネスに駆け寄った。
ダークネスの腕を取り押さえる、そこには拳銃が…。

「危ないやん、何をするつもりだったの」 「放してくれ、夢破れた哀れな男がこれ以上生き恥を晒しても…」

揉み合っている内にダークネスの黒覆面が脱げた、そこにいるのはごく普通の男だった。

「夢? 悪の組織の首領にどんな夢があるというの?」



モーニング戦隊R 第??話 「叶わぬ夢」

「わしは世界を闇で覆い尽くしたかった。   この世界に偏見と争いを生み出す全てのものを闇で包みたかった。
 何も見えぬ漆黒の闇の中で人々は恐怖するだろう。  だがやがてその闇を打ち払う為に人々は手を取り合うだろう。
 肌の色、信ずる神、貧富の差、そんなものに惑わされることなく。 人々は人の掌の温かさを頭で知るのでなく、心で感じるだろう。 
 わしはそうして世界を一つに繋ぎたかったのだよ」
「でも、そんなことをしたら皆があんたを憎んでしまうんじゃあ」
「それで世界が一つになるならわしは構わん。
 いろんな色の絵の具が重なり合ってどんな色になるか、その色を見ることが出来るのならばこの命惜しくはないと思った」

幾つにも分割されたスクリーンには、世界中の子供達が映っていた。
高価な玩具を買い与えられている子供、拾ったゴミで生計を立てる子供、ファッションショーで歓声を浴びる子供
銃を持たされ戦場に立たされる子供、1億円の募金を得て心臓移植手術を受けた子供、20セントのワクチンが打てずに息絶えた子供

「全ての子供に笑いを分け与えたかった。 全ての子供に未来への道を指し示したかった、だが…
その夢は潰えた、心が冷え切ってしまった。 叶いもしない愚かな夢を見たわしを笑うがよい」
「違うな、私はあんたの夢が愚かだなんてちっとも思わない。 そう思ってるのは私だけじゃないみたいやよ」

「おーい、ダークネス様~」 男を呼ぶ声が聞こえる。

「お前は旅を続けるのか。 それで本当に世界を救えると思っているのか」
「未来のことなんて判らない。 今の私を突き動かすのは過去に経験したこと、出会った人がくれた言葉。
それが集まって現在の私を形作っている。 現在の私が歩いていった先に未来がある、だから、あーしは…」

「旅を続けるのだな…」 光の粒子となって旅立った愛を見送りながら男は呟いた。

||c| ・e・)|<ダークネス様、こんなところにいたんですか。 捜したんですよ。
ダクネチュ)<うぉぉぉぉ寒い! 里沙、実に寒いぞ!! ミティ様が大活躍しとるぞ!!
||c| ・e・)|<弱りましたねぇ。 灯油も切れちゃってるし、リンリンを呼んで発火能力で暖めてもらいますかねえ。。
ダクネチュ)<ゴルァ、闇の王を凍死させる気か。(…高橋愛よ、お前が旅を続けるなら、わしも叶わぬ夢を抱いて歩き続けよう)



最終更新:2014年01月19日 23:27