■たたかえ蟹ちゃんシリーズ■第１２話☆女王の試練■
普段の蟹ちゃんは、巨大クローの絶大なサイバネ破壊力を過信して自信満々だ。運悪く負けることもあるが、自分が最強クラスの戦闘者であることを疑いはしない。しかし、これから戦う相手にだけは……正直、勝てる気がしなかった。だが、『女王』となるためには、この戦いを避けるわけにはいかない。1
その者は、我々が住む世界の外側に住んでいる。遥か古代から存在する、時空を超えた神話的怪物。フサフサした毛に覆われた、山のような巨体。長い鼻と牙を持つ、九つの頭部。神獣の名は……スーパーヤマタノナウマンゾウDX（以下、DXと表記）。2
「「「「「「「パオーン！！」」」」」」」九つあるDXの首のうち七つが同時に鳴き声を上げた。それだけでグニャリと空間が歪み、サイバネ少女は寿命が縮まったような気がした。（この怪物と……戦うの……!?）なお、残り二つの首は居眠りしてたり変な方を見てたりしてる。3
DXの鳴き声を翻訳するとこうだ。（来たか……汝の力、試させてもらう）（フフ、今回の子はどれぐらい楽しめるかしら）（捻り潰してやる）（カワイイ）（早く終わらせたい）（アイギス楽しい）（トング温泉の後編まだかなぁ）……恐ろしいほどに協調性がない！ そして、戦闘開始！ 4
いきなり９大ひみつ能力のひとつを発動するDX！「パオーン！」ジェネシック・オシリス・ストライク！ オシリス首が民に小麦の栽培法やパン及びワインの作り方を教え、法律を作って広め、それはそれとして長い鼻で敵をはたく！「うなれサイバネェーッ！」ブースター全開で迎撃の対空クロー！ 5
ガッギィーン！ 巨大な鼻とクローが激突！ 当たりは互角！「やれる！ 私のサイバネ破壊力は神にも通用する！ よーし、ブッ殺すぞォー！」「パオーン（なかなかやるな、定命の者よ……だが、ブッ殺すゾウは我々の台詞だ）」DXの主神格、アトゥムが言った。更なるひみつ能力が放たれる！ 6
ジェネシック・アトゥム・ストライク！「パオーン！」アトゥムはその恐るべき力によって天地を創造した！ それはそれとして長い鼻で敵をはたく！「死ねェーッ！」サイバネ少女も全開のクローを振るう！ 再び激突！「グワーッ！」今度はDXの鼻が打ち勝った！ さすがは創造神！ サイバネ少女の意識が暗転する！ 7
……何時間、気絶していただろうか。「……うぅ……はッ！」サイバネ少女は目を覚ました！「パオーン（どうする？ まだ続けるかね？）」「当たり前だッ！ 寝てる隙に殺さなかった事を後悔させてやるぜェーッ！」出力全開！ サイバネ推進で天高く舞い上がる！ 8
ゴォウッ！ クロー後部のブースター火炎が向きを変えた！ 上空で飛翔方向を急激に下方転換！ サイバネ突進力に重量加速度を上乗せし、DX目掛けて高速落下突撃！「パオーン（その飛び込み潔し！ ならば我等が最強の返し技で葬って差し上げよう！）」9
「「「「「「「「「パオーン（ファイナルヘリオポリス・スラッシュ）！！」」」」」」」」」９大ひみつ能力のバーゲンセール！ アトゥム創世！ シュー、テフヌト、ゲブ、ヌトが大気と海と大地と天空を統括！ オシリスが文化をイシスが星辰を産み、セトの竜巻とネフティスの宵闇が荒れ狂う！ 10
DX九首が神話級能力を無秩序解放して宇宙がヤバイ！ それはそれとして混沌の中から飛び出す鋭い牙！ しかしサイバネ少女は！「かかったなァーッ！」右クローを切り離して射出！ 本体は反動で急停止！ フェイントだ！ 18本の牙が放たれた右クローを粉々に砕くが少女本体は無傷！ 11
左クローをブースト再加速！「死にやがれェーッ！」必殺技後の硬直中DXを目掛け、重量加速サイバネ突撃！ アトゥムの頭部にサイバネの爪が深々と突き刺さる！「パオーン（グワーッ！ 汝の力、確かに見せてもらった！ 見事なり！）」ズズーン！ 倒れるDX！ 12
全エネルギーを使い果たし、横たわるサイバネ少女。左クローもアトゥムの頭部に刺しっぱなしで、もはや戦闘力はない。「へへへっ、やったよ。合格……だよね？」「パオーン（うむ。よかろう。汝に『女王』を名乗る資格を与えよう）」アトゥムが答えた。13
「やった……やったぜェ……これで私は転校生＜女王蟹＞だ！ 待ってろ＜女王蜂＞！ 今度こそてめェの首を切り落とし……私が花嫁に……！ ヒヒ、ヒヒヒヒ、ヒャーッハッハッハーッ！」サイバネ少女の高笑いが亜空間に響く。DXは『女王』の資格をあげて良かったのかなぁと、少し不安に思った。14
■第１２話☆女王の試練■ おわり
第１２話挿絵「蟹ちゃんvsスーパーヤマタノナウマンゾウDX」
参考リンク：
最終更新：2014年06月14日 09:55
