ダンジョンの冒険

091913版

迷路のような通路と部屋から成る地底の複合建築物であるダンジョンが、ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズの鍵となる役割を果たすことは、まるで思いがけないことではない。ほとんどの冒険では最低でも1つのダンジョンが登場し、広大な広がりを持つダンジョンにおいては、その中で完全なキャンペーンを開催し、キャラクターが1レベルから20レベルまで到達できるようなものすら存在する。
この項目ではダンジョンを探険するためのターン制システムを紹介する。このルールには、どのようにしてダンジョンを移動し捜索するか、キャラクターが探険中に行なうことができる作業、そしてそれらの作業をどのように行なうのかといった事が含まれている。

君のダンジョンの地図

キャラクターたちが君のダンジョンを探検する前に、君はキーとなる地理的特徴と地形の概要が記された地図を用意しておく必要がある。
ダンジョンには廃墟とかした寺院の地下にある数部屋から成り立つだけの大きさのものから、大地の地下数百フィートの範囲にいくつもの部屋と通路が広がる巨大複合建造物までさまざまである。君のダンジョンの地図を描くには方眼紙を用いるのが最善であり、方眼紙の各マス目が10フィート×10フィートの区画を表現するようにして使う。
君はキャラクターたちの移動をこの地図上で追跡し、彼らが遭遇する障害物やモンスターの種類を決定する。君の冒険ノートに、ダンジョン内の重要な部屋と通路に関するコメントを書き込んでおくべきである。
光源:地底の建造物の内部では、暗闇の状態が標準の状態であるが、十分な光源があるダンジョンにすることもできる。居住者のいるエリアの大部分はある程度は照明されているかもしれない;暗闇を見とおすことができるクリーチャーですら、暖房、料理、そして防衛のために火を使用する。
その正反対に、アンデッドを含め、多くの地底のクリーチャーが、暗視を持っているか、視覚に頼っていないといった理由から、光源を必要としていない。これらのクリーチャーが活動している領域では、キャラクターたちは自分達で光源を持ちこまなければならない。

ダンジョンの特徴

最も基本的なこととして、ダンジョンは壁で囲まれて構成される空間であり、それぞれの空間は扉や他の障壁によって分割されている。罠や落とし格子などのその他の特徴もあり、それらによって地上の冒険環境とはまた違った環境を生み出している。
:ダンジョンの壁は分厚い天然石で形成されているかもしれないし、人工的な構造物(通常は木材)で大きな部屋が小さな区画に分割されているかもしれない。
壁にはヒット・ポイントがあり、破壊することができる。クリーチャーはその壁の現在のヒット・ポイントに等しい難易度に対する【筋力】判定を成功させることによって、壁の5フィート四方区画を打ち破ることができる。壁の区画のヒット・ポイントと破壊難易度はその材質と厚さによって決定される。
壁の材質 ヒット・ポイント/厚さ1インチ
アダマンティン 60
ガラス 5
30
30
木材 10
:知性を持つダンジョン居住者は可能なときには、特に攻撃されることが予期されるなら、障壁で塞いだり、扉に鍵を掛けたりするだろう。扉を破壊するための難易度はそれを作るのに使われた材質に基づく。加えて、キャラクターは扉を打ち壊そうと扉を攻撃できる。扉を打ち壊すための【筋力】難易度はその現在のヒット・ポイントに等しい。
扉の材質 ヒット・ポイント
アダマンティン 120
ガラス 5
60
60
木材 10
落とし格子:落とし格子は1本か2本の水平方向の鉄帯で補強された垂直な棒の集まりである。落とし格子は通路を塞ぐために落とされるものであり、再度持ち上げるために使われる巻き上げ機と鎖が附随している。落とし格子によって与えられる大きな利益は、通路を塞いだままでもなお、衛兵はその向こうのエリアを見張り、それ越しにアローを発射したり、呪文を発動したりできる点にある。
落とし格子は難易度20の【筋力】判定を必要とするアクションによって持ち上げることができ、あるいはキャラクターがその巻き上げ機を使用するためにアクションを使うことができるなら判定なしで持ち上げることができる。難易度25の【筋力】判定を成功させたクリーチャーは、落とし格子の棒をねじ曲げてクリーチャーが通過できるようにできる。
秘密の扉:ダンジョン内のいくつかの扉はその周辺の壁に融け込むような作りとなっている。秘密の扉の存在を見つける手がかりを発見するには、【知力】〈捜索〉判定が必要とされる。難易度は10、20、あるいは30であり、より高い難易度はより素晴らしい技巧で作られていることを示している。発見された秘密の扉は該当する材質(通常は石)の通常の扉と同様に扱う。
:知性のあるダンジョン居住者は敵が侵入する可能性がある場所に罠を仕掛ける。また、長く忘れ去られていた墳墓には何百年も前に仕掛けられた罠が残されているかもしれない。

ダンジョン・ターン

ここでは1分単位での移動とダンジョンでの探険に関するプレイ処理手順を説明する。
1.旅のペースと探険時作業:プレイヤーたちは彼らのキャラクターが移動する方向と、彼らの旅のペースを決める。また彼らは探険時作業をも決定し、それは“探険時作業”の項にリストされている中から選ぶ。またプレイヤーたちは彼らの隊列をも決定する(しばしばこれを“行軍隊列”と呼ばれる):グループ内で誰が正面に立ち、誰がまん中で、誰がしんがりに立つのかを決めるのである。
2.地図上で進める:君のダンジョンの地図上でキャラクターたちの進路を追跡し、彼らが見る物を叙述し、彼らが移動しながら行なう決定をさせる。キャラクターたちは特定の場所に君が配置したクリーチャーと遭遇するかもしれない。もしそうするなら、対話遭遇や戦闘遭遇が続いて起こる。
3.ランダム遭遇:10分毎に1回、ランダム遭遇を判定する。もしモンスターと遭遇したなら、クリーチャーとキャラクターたちの間で発生する対話遭遇や戦闘遭遇を解決する。
これらのステップを実施した後、第1ステップに戻り、次のターンの処理手順を繰り返す。

旅のペース

キャラクターが選ぶ旅のペース―速い、普通、遅い―はモンスターや他の脅威が彼らを不意討ちする可能性、1分毎に彼らが移動で踏破できる距離、そして移動をしながら彼らが行なうことができる作業が何であるかを決定する。
プレイヤーたちに彼らが選択した事を説明する。もしキャラクターが速い旅のペースを選んでいるなら、彼らは1分でかなりの距離(最大300フィートまで)を移動できるが、彼らは探険時作業を一切行なうことができず、彼らは道中で危険に飛びこんで行ってしまうかもしれない事を意味する。普通のペースでは、彼らはいくらかの距離を移動しつつ、同時に周囲を調査して行くことができる。遅いペースは、スピードは慎重さ程重要ではない状況において理想的なペースである。グループが旅のペースを決定するとき、「旅のペース」の表で彼らの意図するものに一致する列を使用する。もしパーティが分断されているなら、各小グループがそのペースを個別に選ぶ。
探険グループの旅のペースはその準備具合を決定する。この質は、キャラクターが不意討ちを避けるために戦闘の開始時に【判断力】セーヴィング・スローを行なうときなど、いくつかの状況で君が使用できる難易度という形で表現される。
旅のペース
ペース 準備具合難易度 1分当たり最大距離
速い 15 300フィート
普通 10 200フィート
遅い 5 100フィート

探険時作業

探険時作業とは、キャラクターがグループの全般的な意向と準備に寄与するために通常行なう任務のことである。キャラクターは彼らの作業をダンジョン探険ターンの最初のステップの段階で選ぶ。
呪文の発動のように、戦闘ラウンドの間にはアクションを要する行動は探険時作業においては考えない。キャラクターは探険中の1分の間に最大で3つまでのアクションを取ることができ、それでもさらに1つの探険時作業を実行できる。
パーティが速いペースで移動しているときには、キャラクターはこれらの作業のいずれも実行する時間を取れない。

見張り

Keep Watch
危険に向けて目と耳を向け続ける行為。キャラクターが探険時作業として見張りを選んだときには、そのキャラクターは、グループが現在の探険ターンに移動するときに、隠れているクリーチャーに気付くための【判断力】〈知覚〉判定と、隠されている物体(罠や秘密の扉など)に気付くための【知力】〈捜索〉判定を行なう。キャラクターの【判断力】〈知覚〉判定の結果を、探検家たちから隠れようとしているあらゆるクリーチャーの判定との対抗判定に使用する。もし見張りを行なっている誰かがクリーチャーを見つけたなら、そのクリーチャーはグループを不意討ちできない。

地図作成

Make a Map
正確な地図を作成することは、探検家たちが彼らの周囲に対して最善の認識を確実に持つために重要な要素である。またそれは彼らが道に迷わないようにするのにも役立つ。
地図を作成するには、キャラクターは筆記用具と、情報を記録するための何らかの帳面(紙や羊皮紙など)を所持していなければならない。
キャラクターが作成する地図は、君のダンジョンの実際の地図と似たものとなるだろうが、完全なものではない。君が地図作成をしているキャラクターのプレイヤーに情報を与えるとき、そのキャラクターがその作業を行なっている間に実際に知覚した情報だけに限定して与えること。
もし1人より多くのキャラクターがこの作業を選んだなら、そうしている者たちはそのエリアの複数の地図を作成することになる(この戦術は、冒険のもっと後で1人のキャラクターの地図が失われたり、破壊されたりした場合に役立つこと間違いないであろう)。

隠密行動

Sneak
目立たない行動し続けることは、危険なエリアではしばしば賢明な戦術である。キャラクターが探険時作業として隠密行動を選択したときには、そのキャラクターはグループの旅の際に1回の【敏捷力】〈隠密〉判定を行なう。そのキャラクターがどれだけ上手に隠れたのか、またモンスターがそのキャラクターを見つけることができたかどうかを決定する際、通常の隠密に関するルールを使用する。

即席作業

キャラクターが、ここに作業として説明されていないが、探険中のグループに貢献できる何らかの方法を思いつくかもしれない。その場合、君は即席の探険時作業の使用を許可しても良い。また、即席作業は(ここで説明されている作業と全く同様に)グループの旅のペースが“普通”か“遅い”の場合にだけ行なうことができる。

ランダム遭遇

君は10分間隔で、何者かあるいは何かが冒険者たちの進路を不意に横切ったり、あるいはその逆が発生したりしないか判定する。
そのダンジョンの棲息数の要素がモンスターと遭遇する可能性を決定する(表参照)。ワンダリング・モンスター(彷徨えるモンスター)の判定を行なうには、d20をロールする。もし遭遇が発生したなら、英雄たちが何と遭遇したか決定するために適切なワンダリング・モンスター表でロールすること。(この表は君が製作するものの1つであるかもしれないし、君が運営する冒険に附属しているものであるかもしれない)。
地域 遭遇の可能性(d20)
ほとんど棲息数なし 20
典型的なダンジョン 18~20
密集生息地 16~20

クリーチャーとの遭遇

探険しているグループがクリーチャーと遭遇したなら―ワンダリング・モンスターであれ、冒険で登場することが指定されているものであれ―キャラクターは彼らを攻撃しようとしたり、回避しようとしたり、あるいは何らかの手段で対話しようとしたりできる。
隠密行動:プレイヤーたちに彼らが何をしたいか聞く前に、どちらかのグループが相手方に気付いたかどうかを決定する。すべてのメンバーが隠密行動に成功しているなら、一方のグループあるいは他方は気付かれることを完璧に回避できる。そうでない場合、誰かが気付いた側に忍び寄ろうと試みるなら、それを判定するために対抗判定が発生する。
不意討ち:もし片方のグループが他方から隠れているなら、そのグループは不意討ちの機会を得る。不意討ちについては戦闘のルール参照。さもなければ、各クリーチャーとキャラクターは、その準備具合に応じて決まる難易度に対する【判断力】セーヴィング・スローを行なう。キャラクターたちに与えられる難易度は、彼らの旅のペースによって決定される。モンスターたちに与えられるものについては、下記に示すように、警戒度合いに応じて決まる。
警戒度合い 準備具合難易度
低い 15
通常 10
高い 5
遭遇距離:一般的に、そのエリアの地形やレイアウトによって、グループが互いに気付いたときにキャラクターたちがクリーチャーからどれだけ離れているかを決定する。もしこの距離が前もって決まらないなら、d20+20をロールする。この結果が遭遇開始時における2つのグループの間の距離を示すフィート数である。

場所と物を探す

キャラクターたちが作業を実行している間に、特記事項のある場所や物と行きかったときには、彼らに発見したものについて説明し、彼らに適切なアクションを取ることを許すこと。
罠や秘密の扉などの隠された物体の場合、それと接する移動をキャラクターたちが行なう際に、最低でもパーティ内の1人がそうした物体を探すために見張りを行なっていなければならない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年06月15日 14:03