最新作予告


「因子」持ちの聖、香音に狙いを付けた西の大魔道士の陰謀。
それを打ち破ったのは、大魔女道重さゆみの尽力と、
そして、生田衣梨奈及び仲間達の活躍によるものだった。

しかし、これで全てが落着したわけではない。
「因子」の力を求めて伸びる更なる魔の手。
しかもその危機は、思わぬ身近なところより迫っていた……。





「まさか我が孫が、『因子』などという大いなるパワーをその身に秘めていたとは、
さすがの儂も予想しておらなんだわ」

皺くちゃの顔を歪ませて、老人がうなるような声を上げる。
そして不機嫌そうに吐き捨てた。

「それにしても本人の口からこんな思いがけぬ僥倖を聞き出しておきながら、
家族内のこととしてそのまま捨ておこうとする息子の不肖さには、
情けなくて涙が出てくるわ。
この聖太郎なしでは、譜久村家もいつ裏社会の闇に飲み込まれてしまうか
知れたものではないわい。
だがそれも、『因子』の力さえあれば一変する。
譜久村家が裏社会を完全に牛耳る日も遠くないじゃろうな」

ひとしきり哄笑を響かせた後、傍らの男に向かって声をかける。

「もう一度だけ念を押すが、
お主なら『因子』の持ち主からその力を引き出せるというのは、真であろうな」

怪しげな黒衣の男が、問いかけに答えて大きく頷いた。

「もちろん。『因子』から得られるパワーはほぼ無限大。
ご老体の夢も易々と実現させることができましょう。
ただその代わり……」

「わかっておる。得られたパワーの一部はお主が自由に使うがよい」

「有難き幸せ。
ククククク…………。
これでアイツの、つんくの息の根を止められるかと思うと…………」

暗い瞳で忍び笑いを漏らす男を、老人が興味深げに見やる。

「どうやらお主が過去に西の大魔道士と行動をともにしながら、
手痛い裏切りを受けて深い恨みを持つに至っているという噂は、本当のようじゃな」

「ご老体……」

「おおすまん、怒らせるつもりは毛頭ないのじゃ。
ただ西の大魔道士も、大魔女により打ちのめされ再起まで時間を要する今が
命を狙う絶好のチャンスだというのはわかるが、
すでにどこかに身を隠して行方もしれない状況なのじゃろ?
果たしてそれをうまく見つけ出せるのか??
いやそれ以前に、『因子』の持ち主である我が孫、聖については
ほとんど手中にあるようなものじゃからまだよいが、
いざパワーを抽出するにはよほどうまくやらんと、
大魔女の感知するところになると色々面倒じゃて」

「ご心配なく。
どちらの懸念についてもすでに手を打っております。
そう、我が妹が…………」



海岸の岩場に響き渡る、澄んだ歌声。
気持ち良さそうにクルクルと踊りながら、
白いワンピースを着た少女が一人きりで荒波と戯れている。

道重家の一員となっても、さくらはふとした時にこうして一人で出かけ
気持ちの赴くがままに存分に歌い踊ることをやめずにいた。

パチ、パチ、パチ、パチ…………

さくらの無我の境地を打ち破ったのは、大げさなまでの拍手の音。
我に返ったさくらが振り向くと、そこには……。

「素晴らしい歌声だね、思わず聞き入ってしまったよ」

金色の短髪が太陽に照らされて眩しく輝く。
さくらを見下ろす長身と低く響く声に一瞬勘違いしそうになったが、
それは間違いなく女性だった。

それ以上にさくらが目を奪われたのが、切れ長の鋭い瞳。
彼女の美しさにしばらく無言で見惚れてしまっていたさくらだったが、
我が身の置かれた状況に気づき、慌てて問いを発する。

「あなたは?」

「私の名前は、しゅう。以後お見知りおきを……」

 

魔法使いえりぽん外伝 ~強大なる因子としゅう兄妹の復讐~  Coming Soon(嘘)

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最終更新:2017年08月26日 16:45