「ねえ?えりぽんさ、いつも道重さんと家で何してるの」
聖にそう尋ねられて衣梨奈はノートに走らせていたペンを止めた
聖でさえ、きっと道重さんと自分の関係には気付いていないはず
何してるのかと尋ねたのは単なるちょっとした好奇心からだろう
内心ギクリとしたが衣梨奈は努めて普通に振舞った
「そうちゃっね・・・特に何をするわけでもなく、えりは家の炊事洗濯をして道重さんはテレビ見たりお風呂入ったり、それぞれ別々に行動してるけど?」
「本当にそれだけ?」
その言葉はどういう意味だろう?
聖は何かを探ろうとしている、もしかして聖は自分と道重さんの関係に薄々気付いてるのかもしれない・・・
「それだけかな、お互いそれぞれ思い思いに行動して夜になったら勝手に眠るけど」
「ふーん・・・」
意味深です、まるで感心無さそうに聖はそれ以上の追及を止めたが
聖は感づいてるいるような気がして衣梨奈は気が気でない
聖は口には出さないけど見透かされてるような気がする
放課後の教室の中、残って勉強していた衣梨奈と聖の間に沈黙が流れる
2つの机を向かい合わせにして
カリカリとノートにペンを走らせる音以外は窓から聴こえるグラウンドからの野球部の練習の音だけ
2人の間に流れる沈黙は苦痛ではなかった
それだけ衣梨奈と聖は親しくなっていたのだ
いつの間にか黄昏の夕日が暮れる
突然、机の上の衣梨奈の手の上に聖は手を乗せてきて握り色っぽい視線で衣梨奈を見つめてた
「ねえ、えりぽん今日うちに来ない?来るでしょ?」
「言わせないでよ、返事は分かっているっちゃろ」
数日後・・・
その日はみんなして道重邸で会食をした
楽しい話に談笑し温かい美味しい食事に舌鼓をうち
そんな中、衣梨奈はテーブルの下で自分の足のつま先を突かれる感触が伝わった
こんな事する犯人は分かっています・・・
みんなに気づかれないように衣梨奈は向かいの席に座っている道重さゆみをさりげなく見た
さゆみは一瞬だけ悪戯っぽい目で衣梨奈を見るとすぐに視線を逸らしまたみんなとの会話に戻り何事も無いかのように振舞う
しかしテブールの下では時々さゆみが衣梨奈の足に足をくっ付けてくる
里保も、春菜も、香音も、そして聖も誰もその事には気づいていない
2人だけの秘密のサイン
さゆみは時折、物欲しそうなねっとりとした瞳で視線を衣梨奈に送る
言葉にしなくても何を求めているのか分かっています・・・
楽しい会食を終えみんなが帰宅した後、衣梨奈は1人で食器の皿洗いをしていた
すると後ろからそっと衣梨奈に歩み寄るさゆみが衣梨奈に呼びかける
「別に明日でもいいのに・・・」
「今日のことは今日のうちに終わらせとかんと気がすまなくて・・・」
言葉を言い終わらないうちに衣梨奈は後ろから、さゆみが抱き着いてくる感触を背中で感じた
あの大魔導士道重さゆみが甘えるように抱きついてきたのだ
普段は気丈で他人に甘えるようなことをしない道重さゆみもこうして二人きりの時だけは甘えてくる
誰にも見せない姿を自分には見せてくれる、それが衣梨奈にとってはとても嬉しかった
「生田、終わったらさゆみの部屋に来て」
衣梨奈は微笑んでコクリと頷いた
「あっ・・・はぁはぁ・・・生田・・・あぁ」
さゆみの部屋の中、求め合おう2人の裸身が絡み合う
いつからだろう師匠と弟子の関係を飛び越え体を重ねるようになったのは?・・・
ひとつ屋根の下2人きりでこの屋敷で暮らすようになって、こういう関係になるのは自然なことだったかもしれない
そもそも、さゆみ自身も衣梨奈をこの屋敷に居候させるのを許したのもこれを期待していたからかも
ある日一緒に寝ようと、さゆみから誘い2人一緒のベットで寝ていたら衣梨奈が覆いかぶさってきて体を求めてきた・・・
後ろめたさや恥ずかしさから嫌と言い抵抗したが本当は嫌じゃない本気の抵抗じゃない
その証拠に、すぐにされるがままに身を任せ今に至る
衣梨奈はさゆみを悦ばそうと指で唇で舌で愛撫した
始めはこんなつもりのはずじゃなかったのに・・・
そうは思うものの、さゆみは年下の弟子による繊細で丁寧な愛撫に女としての悦びと官能と興奮が高まっていく
そこには大魔導士としての道重さゆみではなく、1人の「女」としての道重さゆみの姿があった
道重さゆみでも長い間1人きりで暮らしてきた寂しさを埋めてくれる誰かの人肌の温もりを求めていたのだ
ねっちこく熱く火照る体を寄せて衣梨奈はさゆみを抱き続ける
さゆみの耳を甘噛みし左手で乳房を揉み、右手の指でさゆみの膣を優しくかき回し、さゆみの女の部分を刺激し官能を高めていく
「あんっ!・・・あぁぁさゆみもう駄目っ!」
「ふふっ道重さん・・・かわいい・・・」
生田衣梨奈と道重さゆみ
誰も2人の秘められた関係を知らない
師匠と弟子だけの秘密の関係
終わり