続・愛しく苦しいこの夜に


♪Ah あたたかい 君の言葉が胸にこだましてる
  Ah 包まれる やわらかな手に息をひとつ飲んだ

「好きです」

極度の緊張で顔全体を真っ赤に染めたさくらが、ついに発した決定的な一言。

「私は、譜久村さんのことが、誰よりも、好きです」

一言一句を自分自身で噛みしめるように区切りながらの小田の告白。
その言葉を受けて、聖が魅惑的な笑みを浮かべた。

「ありがとう。でも、聖なんかでいいの?」

「はい。私には、譜久村さんじゃないとダメなんです!」

「そんなに想ってもらえるなんて、聖ホントに嬉しい。でも……」

聖の微笑みが、妖艶な色香を纏う。

「もし聖が小田ちゃんの想いを受け入れたら、
もう二度と元の関係には戻れないけど……それでもいいの?」

「……はい」

ごくりと一つ唾を飲んださくらが、意を決して頷きを返す。
その直後だった。

音もなく滑らかに顔を近づけた聖が、
反応する暇も与えずに、さくらの唇を奪った。

それだけではない。
驚愕で閉じ切らない唇の隙間から、すんなりと聖の舌が侵入し、
さくらの舌を絡め取っていく。

聖のエスコートのままに舌と舌を絡ませ、
その柔らかな感触に耽溺していくさくら。

聖がそっと唇を離した時には、
さくらは蕩けそうなほどの恍惚とした表情となっていた。

「いきなりこんなことや、もっとすごいこともされちゃうかもしれないんだよ?
それでも……後悔しない?」

さくらの耳元で聖が艶然と囁く。
耳にかかる吐息により痺れるような震えが走り、
すでに息も絶え絶えのさくらだったが、それでも健気に答えた。

「後悔なんて絶対しません。もう……覚悟はできてますから」

「わかった。じゃあ聖も本音の気持ちを伝えるね。
聖もね、小田ちゃんのことが大好きだよ。
……小田ちゃんの何もかも全てを独り占めしたいくらいに」

自らの欲望を解き放った聖の瞳が、蠱惑的な光を放つ。

さくらの背中に回された手が軽々とブラのホックを外すとともに、
聖が優しくさくらをベッドへと押し倒した。

さくらの首筋にキスの嵐を降らせながら、
聖がさくらのTシャツをそっとめくりあげ、ブラをずらす。

そして露わになる美しい双丘。
仰向けでも型崩れしない張りと柔らかさを兼ね備えた美乳を、
聖が巧みな強弱をつけて愛撫していく。

聖の手の動きとともに、さくらの息遣いが荒くなる。
その様子を見て、聖が悪戯っぽく微笑んだ。

「聖、もっと小田ちゃんの可愛い声が聞きたいなぁ」

「ああっ!!」

聖がピンク色の控えめな突起を口に含むと、さくらから堪えきれない喘ぎ声が漏れる。
弄ぶ舌の動きに合わせて、さくらの喜悦の声もより大きくなっていった。

「ふふふふ……。小田ちゃんってこんなにも感じやすいんだね。
でも、これからが本番だから。
聖が小田ちゃんのことをもっともっと気持ちよくしてあげる。
もう聖のことしか考えられないくらいに……」

聖の右手がさくらのスカートをたくしあげ、
そのまま太ももを這い上がってついに秘…………

ガンガンガンガンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…………。

はるなは虚脱状態になりながら、荒い息をどうにか整えようとしていた。

大きなたんこぶができてしまっているはるなの額。
これはベッドの上で身悶えして部屋の壁に思いっきり打ち付けた、
というわけではなく、自らの意志で壁に連打した結果のもの。

それにしても、ホンマ危ないところやったわ。
「SONGS」の魔法をもし譜久村さんと小田さん相手に使ったらどうなるんやろか、
なんて軽い気持ちで妄想してみたのがそもそもの間違いやった。

まさかはるなの制御を離れて妄想が暴走し、
歌詞の世界もそっちのけでいきなり濃厚な絡みをしだすだなんて……。
シメリーズの破壊力を完全に読み違えてたみたいや。

妄想に取り込まれる寸前に、最後の力を振り絞って額を壁に叩きつけ
どうにか正気に返ることができたからまだよかったものの、
あのままやったらはるなはもう、「清く正しいカプヲタライフ」なんて
二度と口に出きんような暗黒面に堕ちてもうたかもしれへん。

もう決してシメリーズ相手に魔法を使おうなんて、
それ以前に2人についての妄想すらも絶対せえへんようにせな。

そんな風に決意を固めたはるなの脳裏に、
恐るべき悪魔の囁きが響いた。


もしかしたら、魔法なんか使わんでも、
実は2人とっくにそういう関係になってるんやないやろか。
まさかではあるんやけど、普段よく身体を寄せ合っている2人の
あのねっとりとした色気を思えば、そんな訳ないと一笑に付すこともできんし。

……いやいやいやいや、さすがにそれは考えすぎやろ。
そんなに不安なら、今度2人が同部屋になった時でも、
魔法を使ってスマホ越しに様子を窺ってみればええやん。

でも……。

こっそり覗いてみて、もしホンマに2人が激しいベッドシーンを演じていたりしたら……。
はるなはきっともう立ち直れへん。

それだけやあらへん。呆然と眺めることしかできないはるなのことを、
譜久村さんが気づいてスマホ越しに妖しい笑みで声をかけてくるんや。

『はーちんもそんなところで物欲しそうに見てないで、一緒に楽しもうよ。
聖がはーちんのこともいっぱいいっぱい気持ちよくしてあげるから。
小田ちゃんがEガールズに加入できたのも、実は聖がたくさん弄んだからなんだよね。
だからはーちんも、聖の手でトリプルAから卒業させてあげてもいいよ』

ひえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!


そしてはるなは、新たに襲い来る悪夢、いや淫夢から逃れるために、
再び額を部屋の壁に勢いよく叩きつける羽目に陥ったのやった。


(おしまい)

 

愛しく苦しいこの夜に  涙ッチ

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最終更新:2016年07月26日 02:47